新茶を淹れる温度はどのぐらい?【温度別に3つの方法で新茶を楽しむ!】
新茶は4月上旬から5月上旬にかけて収穫され、その後1ヶ月ほどで店頭に並び始めます。 新茶の特徴は若い茶葉ならではの爽やかな香りと味わいで、毎年この時期を楽しみにしているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事ではお湯の温度が新茶の味わいにどのように影響するのか、温度別に新茶を味わう3つの方法についてご紹介していきます。
お湯の温度は緑茶にどう影響するのか?
茶葉の成分は溶け出しやすい温度が異なる
緑茶の風味や味わいは茶葉によって変わるのはもちろんのこと、お湯の温度によっても変わってきます。緑茶の味わいを構成する主な成分は苦味成分・渋味成分・旨味成分・甘味成分の4つで、これらの成分は温度によって溶け出し方が異なるため、緑茶を淹れるお湯の温度によって異なった味わいになります。
苦味成分
カフェインは緑茶に含まれる苦味成分で、茶葉の成分の内3~4%程を占めます。カフェインはお湯の温度が高いほど水に溶け出しやすい性質があり、温度が低くなるにつれ溶け出しにくくなりますが、時間をかければ水の温度が低くても溶け出し、約7度の冷水で2時間ほどかけて抽出した場合には、20~50%ほどが溶け出します。
お湯の温度とカフェインの溶出率(2分間抽出)
[su_table responsive=”yes” fixed=”yes”]お湯の温度 | 溶出率 |
90℃ | 80%以上 |
70℃ | 約50% |
50℃ | 約25% |
20℃ | 約10% |
渋味成分
緑茶に含まれる主なカテキンにはEGCG・ECG(エステル型カテキン)、EGC・EC(遊離型カテキン)があり、エステル型カテキンが緑茶の渋味のもとになっています。エステル型カテキンはお湯の温度が低くなると水に溶け出しにくくなる性質があります。
お湯の温度とエステル型カテキンの溶出率(2分間抽出)
[su_table responsive=”yes” fixed=”yes”]お湯の温度 | 溶出率 |
90℃ | 約25% |
70℃ | 約10% |
50℃ | 約5% |
20℃ | 約2% |
旨味成分
緑茶の旨味は茶葉に含まれるグルタミン酸などのアミノ酸によるもので、低温からでも溶け出しやすく、どの温度帯であってもある程度溶け出すと言われています。
甘味成分
緑茶の甘味はテアニンによるもので、茶葉に0.6~2%ほど含まれるアミノ酸の一種です。70°以下の温度ではエステル型カテキンやカフェインよりも水に溶けやすい性質があります。
お湯の温度とテアニンの溶出率(2分間抽出)
[su_table responsive=”yes” fixed=”yes”]お湯の温度 | 溶出率 |
90℃ | 約50% |
70℃ | 約35% |
50℃ | 約25% |
20℃ | 約10% |
温度を変えて新茶を三通りの方法で楽しむ
煎茶の入れ方
1、急須から茶碗にお湯を注ぐ
急須に準備したお湯を茶碗に注ぎ、急須に残ったお湯を捨てます。こうすることで茶碗を温めると同時に、お湯の温度を調整することができ、お湯は容器を移し替えるごとに約7℃程温度が下がっていきます。また、 急須にお湯を残すことなく綺麗に注ぎ切ることで、二煎目が渋くなるのを防ぐことができます。
2、人数分の茶葉を急須に入れる
茶葉の量は一人当たりティースプーン一杯(2~3g)
3、急須にお湯を注ぐ
先ほど茶碗に入れておいたお湯を急須に注ぎ、普通煎茶を淹れる場合は1分、深蒸し茶の場合は30秒ほど待ちます。
4、廻し注ぎをする
お茶の濃さを均一にするために、少しずつ茶碗に廻し注ぎをします。
5、最後の一滴まで注ぐ
最後の一滴までしっかりと茶碗に注ぎましょう。急須の中にお湯が残ったままだと、二煎目が渋くなってしまいます。
6、二煎目を淹れる
一煎目と入れ方は同じですが、二煎目は一煎目よりも味が出にくいため熱めのお湯で淹れるようにしましょう。
三通りの温度で新茶を楽しむ
新茶ならではの香りを楽しむ
熱めのお湯で淹れた緑茶は茶葉の香りをより強く感じることができるため、新茶ならではの香りを楽しみたい場合は、80℃を少し超えるぐらいの温度で淹れましょう。
新茶の持つ旨味・甘味を味わう
茶葉に含まれる苦味・渋味成分は、お湯の温度が低くなるほどに水に溶け出しにくくなる性質があることから、70から65℃程度まで冷ましたお湯でじっくりと抽出することで、お湯に溶け出す渋味・苦味成分が少なくなり、新茶の旨味・甘味をより強く感じることができます。
水出しで味わう
温度の低い水で抽出することでカテキンが水に溶け出すのを抑えられ、渋みが少なく旨味を感じることができるお茶になります。 冷やすことで低めの温度のお湯で淹れたお茶とはまた違った味わいや風味を楽しむことができます。水1Lにつき茶葉は10g用意し、お茶パックに入れた茶葉を麦茶ポットなどに入れ、冷蔵庫で半日ほど抽出します。
また、水出し茶専用のボトルで抽出する方法もあります。
まとめ
・茶葉に含まれる苦味・渋味成分はお湯の温度が低くなるほど水に溶け出しにくくなる。
・旨味・甘味成分は苦味・渋味成分と比較し、低い温度でも水に溶け出しやすい。
・熱めのお湯で淹れると新茶の香りを強く感じることができる。
・低めの温度のお湯で淹れると旨味や甘味を強く感じることができる。
・水出し茶は渋みが少なく旨味を感じることができるお茶になる。
水の温度によってお茶の味わいは様々に変化していきます。 ここで紹介した三つの新茶の楽しみ方を試し、ご自身に合った新茶の楽しみ方を発見してみてはいかがでしょうか。
参考
茶主要成分の茶浸出液の溶出特性 独立行政法人農業技術研究機構 野菜茶業研究所 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/2001/91/2001_91_29/_article/-char/ja/