大福茶(おおふくちゃ)は、主に関西地方で飲まれている縁起物のお茶です。
ほかの地域にお住まいの方にとっては、あまり馴染みがないお茶かもしれませんね。
この記事では、大福茶についてよく知らない方のために、起源や作り方などについて解説していきますので、ぜひご覧ください。
大福茶とは?
まずは大福茶がどのようなお茶なのかを理解するために、起源や縁起が良いとされている理由についてご紹介します。
縁起物のお茶
大福茶は、新しい年の無病息災を願って、元旦にお茶を飲む風習です。
普通のお茶と異なり、お茶に梅干しや昆布などの縁起がよいとされる具材が入っているのが特徴です。
京都などの大福茶を飲む風習がある地域では、毎年12月頃にお茶屋で大福茶が販売されるようになります。
大福茶の起源
大福茶の起源は平安時代にまでさかのぼります。
京で流行病が蔓延した時に、六波羅蜜寺を開いた空也上人がお茶を振る舞ったところ、人々の病が治ったという話が残されています。
その徳にあやかり、村上天皇が元旦にお茶を飲むようになったのが、大福茶の始まりと言われています。
天皇が飲んでいたことから、もともとは「王服茶」や「皇服茶」と呼ばれていたものが、いつしか「大福茶」と呼ばれるようになりました。
お茶の種類はさまざま
大福茶に使用するお茶の種類に決まりはありません。
市販されている大福茶も、煎茶や抹茶、ほうじ茶などさまざまです。
自身で大福茶を作る場合は、好きな種類のお茶を使うと良いでしょう。
どんな味?
ベースになっているお茶の種類によって味はさまざまですが、お茶に昆布や梅干しの風味が加わり、普段のお茶とは違った味わいが楽しめます。
お茶と梅干しの組み合わせは健康にもよいのでおすすめです。
お茶や具材の組み合わせを色々試してみると面白いでしょう。
大福茶と茶道
茶道の家元には、元旦の早朝に大福茶を飲むところもあります。
この行事に参加できるのは、家元の家族などの一部の人達だけです。
当主が点てたお茶を、千利休の像にお供えした後、皆でお茶を回し飲みして梅干しと昆布を頂くそうです。
具材でげん担ぎ
大福茶に入れる具材は地域によってさまざまですが、どの具材もそれぞれに意味があります。
それぞれの具材がなぜ縁起がよいとされているのかご紹介しましょう。
黒豆
おせちにも使われる黒豆ですが、「まめに働く」といった意味があります。
また、黒豆には「健康」や「丈夫」といった意味合いもあり、新しい年を健康で過ごせるようにという願いが込められています。
黒豆は表面にしわが出ないように煮ることが多いですが、昔はしわのある黒豆が一般的でした。
その頃は、しわができる年齢になっても、元気に過ごせますようにという長寿を願う意味合いもあったと言われています。
梅干し
梅干しには、「うめ」という発音が「産む」に似ていることから、「子孫繁栄」という意味があります。
そのほか、しわができるまで夫婦仲良く過ごせますようにという意味もあります。
申年に採れた梅は「申梅」と呼ばれ、良くないものが去るという意味があり、特に縁起が良いとされていますので、申年には梅干しをお茶に入れてみてはいかがでしょうか。
山椒
山椒の実は、房状に実ることから「子孫繁栄」という意味があり、縁起がよいとされています。
また、山椒は魔除けの木とされています。
山椒の葉は非常に香りが強く、 鬼や邪気はそういった香りを嫌うとされ、山椒の木を庭に植えると魔除けになるとされていました。
昆布
お祝い事に欠かすことのできない昆布は、「よろこんぶ」として昔から縁起が良いとされてきました。
戦国時代には、敵に「打ち勝ちよろこぶ」という語呂から、戦の勝利を願う縁起物とされていました。
また、昆布には「子孫繁栄」という意味もあります。
大福茶の作り方
大福茶は市販されていますが、自分で簡単に作ることもできます。
ここでは煎茶を使って大福茶を作る方法を解説します。
【用意するもの(1人分)】
- お湯 80ml
- 煎茶 2g
- 梅干し 1個
- 乾燥昆布
【作り方】
- 乾燥昆布を柔らかくなるまで、濡らしたキッチンペーパーでは挟んでおく
- 昆布が柔らかくなったら、ハサミで細長くカットして結ぶ
- 急須にお湯を注ぐ
- 急須からに茶碗にお湯を移して、余ったお湯は捨てる
- 急須に茶葉を入れて、茶碗のお湯を急須に戻す
- お茶を30秒程浸出させる
- 茶碗に梅干しと昆布を入れ、少しずつ回し注ぎする
先にご紹介したように、大福茶に使うお茶の種類に決まりはありませんので、好みのお茶を準備しましょう。
まとめ
- 大福茶とは関西地方に伝わる元旦にお茶を飲む風習
- お茶の種類に決まりはない
- 具材にはそれぞれ意味がある
大福茶の起源や具材の意味など、大福茶がどのようなお茶なのか、なぜ縁起が良いのかご紹介しました。
大福茶は自宅で簡単に作れますので、興味のある方はぜひ試してみてください。