深蒸し茶のカフェイン【どの位までなら飲んでも大丈夫?】
深蒸し茶は茶葉を長く蒸す
茶葉には酸化酵素が含まれているため、 収穫した直後から発酵が進んでいきます。緑茶はこの発酵を止めるために茶葉に熱を加えて作られます。熱を加える方法には釜で炒る方法と蒸気で蒸す方法の2通りありますが、今日では蒸気で蒸す方法が主流となっています。
深蒸し茶は他の緑茶と比較し長い時間茶葉を蒸す「深蒸し製法」によって製造される緑茶ですが、 一言に深蒸し茶と言っても原料となる茶葉には様々なものがあります。
深蒸し茶でも茶葉によってカフェインの量は違う
深蒸し茶に含まれるカフェインの量は、深蒸し製法によって変わるものではないと言われています。緑茶に含まれるカフェインの量は、若い茶葉を使用したものほど多く、番茶よりも新茶に多く含まれています。深蒸し茶と言えば、煎茶を深蒸しした「深蒸し煎茶」が一般的ですが、中には玉露を深蒸ししたものや蒸し製玉緑茶を深蒸ししたお茶も存在し、「蒸し」の工程のある緑茶であれば深蒸しすることができます。緑茶の中でも新芽から作られる玉露には特にカフェインが多く含まれており、玉露を深蒸ししたお茶には多くのカフェインが含まれています。
100mlのお茶に含まれるカフェインの量
玉露 120mg
煎茶 20mg
ウーロン茶 20mg
溶け出すカフェインの量が多くなっている可能性
成分が溶け出しやすい
深蒸し茶は「深蒸し」ではない緑茶と比較すると味が出やすく、渋みの少ない濃厚な味わいが特徴ですが、これは茶葉を深蒸しすることによって茶葉に含まれる成分が水に溶け出しやすくなっているためで、他の緑茶と比較するとカフェインも溶け出しやすくなっている可能性があります。
粉状の茶葉が含まれている
深蒸し茶は長い時間茶葉を蒸すことによって茶葉が柔らかくなるため、細かく砕けた茶葉が混ざり少し粉っぽくなっています。深蒸し茶を淹れるとこの細い茶葉もお茶に混ざり濁った水色(すいしょく)になります。
そのため深蒸し茶には、水に溶け出した茶葉の成分だけではなく茶葉自体が淹れたお茶に含まれているため、この茶葉に含まれるカフェインもいくらか一緒に摂取することになりますので、同じ茶葉を深蒸ししたものとそうでないものを比較した場合、カフェインを多く含んでいる可能性があります。
淹れ方によって溶け出すカフェインの量が違う
水に溶け出すカフェインの量はお茶の淹れ方によっても違いがあります。お湯の温度が高ければ高いほどカフェインは水に溶け出しやすくなり、温度が低いと溶けにくくなります。温度が低いからといって、全く水に溶け出さないわけではなく、煎茶を5~7℃の水出しで淹れた場合、2時間の浸出で茶葉に含まれるカフェインの内、20~50%が水に溶け出します。
具体的な数値は公表されていない
使用した茶葉によって含まれるカフェインの量に違いがあることは、先にご紹介したとおりですが、製造元によっても粉状の茶葉の量に違いがあるなど「深蒸し茶」と一括りにしてカフェインの量を示すのは難しく、そのためか深蒸し茶に含まれるカフェインの量を示す具体的な数値は公開されていないようです。
どの位までなら飲んでも大丈夫?
成人:400mg
国内の公的な機関からカフェインの許容摂取量などは示されていませんが、いくつかの国外の機関からは健康に悪影響を与えない摂取量が示されています。欧州食品安全機関による一日の許容摂取量は、成人で400mgとされています。
妊婦・授乳中の女性:200mg
肝臓でつくられる酵素によってカフェインは代謝されますが、妊娠するとその酵素の量が減少し、血液中のカフェインが半減するまで6~16時間かかり、カフェインの影響を受けやすくなります。また、胎児は薬物に対する酵素活性が低く、カフェインは胎盤を通過することができるため妊婦の最大許容摂取量は少なく、200mgに設定されています。
子ども:年齢によって異なる
カナダ保健省による子どものカフェイン許容摂取量は、年齢別に設定されています。4-6歳では45mg、7-9歳では62.5mg、10-12歳では65mg、13歳からは体重によって異なり、体重1kg当たり2.5mgとなっています。
カフェインの影響は個人差が大きい
カフェインの影響は個人差が大きく、その程度は人によって異なります。カフェインを摂り過ぎると不眠やめまい、不安感などの症状が現れますので、許容摂取量は目安と考え自身の体調に合わせて飲むようにしましょう。
まとめ
・深蒸し茶に含まれるカフェインの量は若い茶葉を使っているもの程多い。
・「深蒸し」した緑茶は、そうでない緑茶に比べの成分が溶け出しやすく、カフェインも多く溶け出している可能性がある。
・深蒸し茶には粉状の細かい茶葉も含まれている。
・水の温度が高い程、カフェインは水に溶け出しやすい。
・カフェインの一日あたりの許容摂取量は、成人で400mg、授乳中や妊娠している場合には200mg。
緑茶にはカテキンなどの健康成分も含まれていますが、飲み過ぎると不調をきたす可能性もありますので、無理な飲み方は避けるようにしましょう。
参考
茶主要成分の茶浸出液への溶出特性 独立行政法人農業技術研究機構 野菜茶業研究所
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha1953/2001/91/2001_91_29/_article/-char/ja/
農林水産省 カフェインの過剰摂取について
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html#caffeine%20effect
食品安全委員会 ファクトシート 食品中のカフェイン
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf