カフェインとは?
カフェインとはアルカロイドと呼ばれる天然由来の有機化合物の一種です。
カフェインはコーヒーだけではなく、お茶やココア・コーラにも含まれるほか、風邪薬や鎮痛剤などの薬品にも使用されています。
眠気や体のダルさを軽減する効果があり、摂取後30~45分ほどで血液中の濃度は最大になります。
その後、4時間程度で半減すると言われていますが、個人差が大きく2~8時間と実際には幅があるようです。
お茶に含まれるカフェインの量
湯呑一杯(120ml)に含まれるカフェインの量
玉露 120mg
煎茶 24mg
抹茶 36mg
ほうじ茶 24mg
ウーロン茶 24mg
ドリップコーヒー120mlには108mgのカフェインが含まれ、麦茶やハーブティーは原料が茶葉ではない為、カフェインは含まれていません。
カフェインの作用
覚醒作用
体内にあるATPというエネルギーのもとになる物質が燃焼すると、アデノシンという物質が増えていきます。
アデノシンには、覚醒を促す神経伝達物質の放出を抑える作用があり、眠気が生じます。
カフェインはアデノシンの作用を抑制し、覚醒を促す神経伝達物質の減少を抑えることで眠気を抑制します。
100mg以上で覚醒状態から眠りに入るまでの時間の延長、睡眠時間の短縮を引き起こすと言われています。
注意力向上
75mgのカフェインを摂取すると、注意力が向上するとする調査も存在します。
ただし、カフェインの量を増やしても、そこからさらに注意力が向上するわけではないようです。
また、日常的にカフェインを摂っている人と、そうでない人では効果が出る量に違いも。
日常的にカフェインを摂っている人は、そうでない人より多くカフェインを摂らなければ効果がでないとされています。
運動機能向上
運動前にカフェインを摂取するとノルアドレナリンが放出され、交感神経が活発になります。
血圧や脈拍・基礎代謝が増加し、運動に適した状態になります。
特にマラソンなどの有酸素運動では、効果が大きいとされています。
利尿作用
カフェインには交感神経を活性化し血流を増加させる作用があります。
そのため、腎臓への血流も増えます。
腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿として排出する役割を持つ臓器です。
流れる血液の量が増加することで、尿の量も増えます。
過剰摂取するとどうなるの?
中枢神経の乱れ
カフェインは中枢神経を刺激することで、覚醒作用や運動機能向上などの効果をもたらします。
しかし、中枢神経が過剰に刺激されると、頭痛・めまいや不安になるなどの症状が現れることもあるので注意しましょう。
睡眠が妨げられる
カフェインは睡眠の長さだけではなく睡眠の深さにも影響を与えます。
睡眠中に頻繁に目を覚ましやすくなり、睡眠の質が低下するため、就寝前6時間以内にカフェインを摂るのは避けた方がよいでしょう。
痛風発症リスク
カフェインは尿酸として体外に排出されますが、尿酸が大量に増えると痛風を発症します。
ニコチンには、カフェインの代謝を促進する効果も。
特に喫煙者によるカフェインの過剰摂取は、痛風発症のリスクを高める原因になります。
1日あたりの摂取量の上限は?
上手に摂取すればさまざまなメリットのあるカフェインですが、摂りすぎると体調を崩す原因になります。
10,000mg~12,000mg摂取すると、カフェイン中毒により死亡する恐れもあります。
カフェインによる体への影響は個人差が大きく、その影響を評価するのが難しいです。
そのため、国内の公的な機関から1日あたりの最大許容摂取量は公表されていません。
しかし、欧州食品安全機関やカナダ保健省は、健康に悪影響の出ないとされる摂取量を発表しているので、参考にすると良いでしょう。
カフェインは肝臓でつくられる酵素によって代謝が行われます。
しかし、妊娠するとその酵素の量が減るため、血液中のカフェインが半減するまで6~16時間かかります。
また、カフェインは胎盤を通過することができ、胎児は薬物に対する酵素活性が低く影響を受けやすいです。
そのため、妊婦の最大許容摂取量は少なくなっています。
肝機能障害がある場合も、カフェインの影響が出やすくなるので注意が必要です。
1日どのぐらいのお茶なら飲んでも大丈夫?
1日あたり湯呑(120ml)何杯までなら、お茶を飲んでもカフェインの悪影響を受けにくいのかをまとめると以下の通りです。
成人
玉露:湯呑3杯程度
煎茶:湯呑16杯程度
抹茶:湯呑11杯程度
ほうじ茶:湯呑16杯程度
ウーロン茶:湯呑16杯程度
妊婦・授乳中の女性
玉露:湯呑1.5杯程度
煎茶:湯呑8杯程度
抹茶:湯呑5.5杯程度
ほうじ茶:湯呑8杯程度
ウーロン茶:湯呑8杯程度
子供
4-6歳
玉露:湯呑0.3杯程度
煎茶:湯呑1.8杯程度
抹茶:湯呑1.2杯程度
ほうじ茶:湯呑1.8杯程度
ウーロン茶:湯呑1.8杯程度
7-9歳
玉露:湯呑0.5杯程度
煎茶:湯呑2.6杯程度
抹茶:湯呑1.7杯程度
ほうじ茶:湯呑2.6杯程度
ウーロン茶:湯呑1.8杯程度
10-12歳
玉露:湯呑0.7杯程度
煎茶:湯呑3.5杯程度
抹茶:湯呑2.3杯程度
ほうじ茶:湯呑3.5杯程度
ウーロン茶:湯呑3.5杯程度
カフェインの影響の程度は個人差が大きい為、あくまでも許容量は目安と考え不調を感じたら控えるようにしましょう。
まとめ
緑茶のカフェインの量と健康への影響について解説しました。
健康志向の高まりを受けて、緑茶の健康への効果が取り上げられることも多くなっています。
お茶には、カテキンやビタミンなどの健康成分も多く含まれていますが、カフェインの影響も考慮し、飲み過ぎには注意しましょう。
参考
食品安全委員会 ファクトシート 食品中のカフェイン
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
農林水産省 カフェインの過剰摂取について
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html#caffeine%20effect
gooニュース カフェインがもたらす利用作用のメカニズムを医師に聞いた!
https://news.goo.ne.jp/article/oshietewat/life/oshietewat-2c7b6117611f9f14fac0be4a1a71783a.html
東京福祉大学短期大学部 日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-
https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/10162/1/%E7%B4%80%E8%A6%81Vol6-2_p109-1-1_kuribara.pdf
東京福祉大学短期大学部 コーヒー/カフェイン摂取と生活-カフェインの精神運動刺激作用と行動遂行-
https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/10730/1/Vol7-1_p5-17Kuribara.pdf