誤解していませんか?緑茶の殺菌作用

誤解していませんか?緑茶の殺菌作用 緑茶と健康

誤解していませんか?緑茶の殺菌作用

誤解していませんか?緑茶の殺菌作用

緑茶に殺菌効果があることは広く知られており、緑茶を飲むことが食中毒やインフルエンザの予防につながるということはご存知の方も多いかと思いますが、細菌であれば何でも殺菌作用を示すというものではなく、食中毒を引き起こす細菌やインフルエンザウイルスなどには殺菌作用を示す一方で、ビフィズス菌のような善玉菌への影響は小さいということをご存知でしょうか。この記事では緑茶の持つ殺菌作用についてご紹介していきます。

なぜ緑茶は善玉菌に影響を与えないのか?

緑茶に含まれる殺菌成分

緑茶には渋みや苦味の成分であるカテキンが多く含まれ、カテキンはポリフェノールの一種で乾燥した茶葉の10~20%を占める成分です。主にエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートの4種類が含まれ、緑茶の持つ殺菌作用はエピガロカテキンガレート(EGCG)よるもので、エピガロカテキンガレートは植物の中でも茶に最も多く含まれています。

エピガロカテキンガレートによる殺菌・抗菌の仕組み

日本での細菌性食中毒の多くは、腸炎ブリビオやO-157、カンピロバクター、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌によって引き起こされたもので、 細菌性食中毒には感染型と毒素型の2つのタイプに分けることができます。 腸炎ブリビオやカンピロバクター、サルモネラ菌は感染型で、 O-157と黄色ブドウ球菌は毒素型で、 エピガロカテキンガレートはこれら2つのタイプの原因菌に対し殺菌・抗菌効果を発揮します。

感染型の原因菌への作用

食中毒の原因菌は条件が揃うと増殖しますが、エピガロカテキンガレートは細菌の細胞膜を破壊することで、原因菌を殺菌し増殖を防ぎます。原因菌の種類にもよりますが、3時間から24時間以内に殺菌することができ、O-157の場合、1万個の細菌を一般的に飲まれている濃度の緑茶で、3時間から5時間ほどで完全に殺菌できたという研究もあるようです。

毒素型の原因菌への作用

毒素型の原因菌に対しては、感染型の原因の場合と同じように細菌そのものにも殺菌・抗菌効果を発揮しますが、原因菌が作り出した毒素に対してもカテキンは作用します。黄色ブドウ球菌は食物の中で増殖して毒を作り出し、その食物を摂取することで食中毒を引き起こします。O-157は食物と一緒に体内に入った後、腸管の中で増殖する時に毒を作り出しますが、エピガロカテキンガレートはこれらの毒素と結合することで無毒化する他 、ボツリヌス菌やコレラ菌の作り出した毒素に対しても同様に解毒作用があることが分かっています。

善玉菌には作用しない理由

一般的に飲まれている緑茶のカテキンの濃度は0.05%~0.1%ですが、エピガロカテキンガレートの抗菌作用は、黄色ブドウ球菌に対しては0.025%、腸炎ビブリオ菌に対しては0.02%というように一般的に飲まれている緑茶に含まれているよりも、低いカテキン濃度で細菌に作用する一方、ビフィズス菌のような善玉菌には0.1%以上でも殺菌作用を示さないことが分かっています。 食中毒の原因菌と比較し善玉菌はカテキンに対する耐性が強いため、カテキンの持つ殺菌作用による影響を受けにくいと言われています。

食中毒菌以外への殺菌・抗菌作用

緑茶には食中毒の原因菌の他にも、 マイコプラズマ肺炎を起こす菌や水虫の原因である白癬菌・インフルエンザウイルスに対しても効果があることが分かっています。 インフルエンザ感染はウイルス表面にあるスパイク状のタンパク質と呼吸器の細胞膜が結合することで始まりますが、エピガロカテキンガレートはスパイク状のタンパク質と結合することで、インフルエンザウイルスと細胞膜の結合を阻害する効果があります。また、ストリクチニンという成分もインフルエンザウイルスが、細胞内に侵入するのを阻害する作用があります。

インフルエンザ予防に緑茶は有効なのか?

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まとめ

・食中毒の原因菌は一般的な緑茶のカテキン濃度より低い濃度で殺菌される。

・エピガロカテキンガレートは毒素型食中毒の原因菌が作り出した毒素も無毒化する。

・善玉菌は一般的な緑茶のカテキン濃度より高い濃度でも影響をほぼ受けない。

緑茶には食中毒の原因菌に対する殺菌・抗菌作用がある一方で、なぜ善玉菌には大きな影響を及ぼさないのかということについてご紹介しました。茶カテキンは酸に強いという性質があるため、 摂取された茶カテキンは大腸まで到達し、胃や腸管の中で食中毒の原因菌や毒素に対して殺菌・解毒作用を発揮し食中毒を予防します。緑茶には嗜好品としての側面もありますが、緑茶と一緒に食事を摂ることは食中毒予防の観点からも合理的と言えるのではないでしょうか。

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参考

茶カテキン類の機能性とそれらの応用例 原正彦https://www.jstage.jst.go.jp/article/jafps1997/26/1/26_1_47/_article/-char/ja/

日本カテキン学会 抗菌・殺菌作用http://www.catechin-society.com/effect_01.html

(社)静岡県茶業協議会 知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ お茶の効用を科学する