茶カテキンの効果とは?

緑茶と健康
湯呑に入ったお茶

カテキンはお茶に含まれるポリフェノールの1種で、乾燥させた茶葉の10~20%を占めるお茶の渋味・苦味成分です。

お茶には主にエピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピカテキンの4種類が含まれており、エピガロカテキンガレートがその内の約半数を占め、湯呑1杯のお茶には約100mgのカテキンが含まれています。

茶カテキンの効果

盆に乗ったお茶

茶カテキンには以下のような効果があることが分かっています。

抗酸化作用
体脂肪減少作用
高血圧予防
がん抑制作用
糖尿病予防
骨粗鬆症予防

抗酸化作用

カテキンには脂質の酸化を抑制する効果があることから、血中脂肪や細胞膜を構成する脂質の酸化を防ぎ細胞の劣化を抑制すると考えられています。

血液中の悪玉コレステロールが増え過ぎると、酸化した悪玉コレステロールが血管を傷つけ血管壁が厚くなることで、血管が狭くなってしまいます。

この状態を動脈硬化と呼びますが、カテキンにはこの悪玉コレステロールの酸化を抑制する効果があることから動脈硬化を予防し、心筋梗塞や脳卒中を発症する可能性を下げる効果が期待されています。

体脂肪減少作用

カテキンには小腸からの脂質の吸収を抑制し、血液中の悪玉コレステロールの過度な増加を防ぐ効果があります。

また、カテキンによって脂肪を燃焼させる酵素が活性化され、脂肪が燃焼しやすい状態になることで体脂肪減少に繋がります。

高血圧予防

血圧上昇酵素の働きを阻害することから、高血圧予防に効果があります。

がん抑制作用

血管新生抑制

がん細胞が増えるには、がん細胞へ栄養を運ぶための血管新生が必要になり、この血管新生に必要な物質の活性を抑制する効果がカテキンにはあります。

転移抑制

細胞が体内のある場所から別の場所へ移動することを遊走と言い、がん細胞の一部がこの遊走によって別の場所へ移動し増えることで転移します。

カテキンにはがん細胞の遊走を抑制する効果があることから、がん転移抑制にも効果があると言われています。

前立腺がん発症の前段階にある患者に1日600mgのカテキンを摂取させたところ、1年後の発症率は3.3%だったという研究の他、週3回以上緑茶を飲む人は、全く飲まない人に比べて大腸がんの発症率が半分だったとする調査(参考1)もあります。

糖尿病予防

お茶に含まれるカテキンの内5~8%が胃や小腸から吸収され、残りのカテキンは消化管粘膜に残ったままになり、この消化管に残ったカテキンは消化酵素の働きを阻害します。

これによって吸収される糖が少なくなり、血糖の上昇が抑制されます。

緑茶を1日6杯以上飲む人は、1杯以下の人に比べて2型糖尿病の発症数が減少するという調査(参考1)もあります。

骨粗鬆症予防

人間の骨は古くなった骨を破骨細胞が溶かし、骨芽細胞によって新しい骨が作られることで、骨を若々しく保っていますが、老化などによってこの骨を作る量と溶かす量のバランスが崩れると骨密度が下がり骨粗鬆症になります。

カテキンにはこの破骨細胞の活性を抑制する作用があり、高齢の方がお茶を飲むことは骨粗鬆症予防に繋がります。

健康に効果的なお茶の量とは?

茶葉

お茶を飲んで2時間程で血液中のカテキンの濃度はピークを迎え、その後は徐々に低下していき、12時間後には完全に血液中からカテキンはなくなる為、血液中のカテキンの量を保つには一度に大量にカテキンを摂取するより少量を定期的に摂る方が効果的です。

カテキンの健康効果を得る為には、1日に600mg程度カテキンを継続して摂取する必要があるので、1日6~10杯程度が目安になりますが、お茶に含まれるカフェインには不眠などの作用があり、体質によってカフェインの影響の度合いも異なる為、無理に大量に飲むのは避けましょう。

大量にカテキンを摂取しすぎると肝機能障害を起こす可能性があり、欧米にはカテキンのサプリメントの販売が禁止されている国もあり、カテキンだけを摂りたいという場合にサプリメントは手軽で便利なものですが、量には十分に気を付けましょう。

お茶にはビタミンやミネラル等の様々な成分も含まれており、カテキン以外のそれらの成分もいっしょに摂ることができ、近年の健康志向の高まりを受けてその良さが見直されつつあります。

皆さんの生活にお茶を飲む習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考

茶ポリフェノールの多機能生理作用
http://www.showa-u.ac.jp/sch/pharm/showa_jour_pharm/back_number/frdi8b000000ilk2-att/iwai.pdf