インフルエンザ予防に緑茶は有効なのか?

インフルエンザ予防に緑茶は有効なのか? 緑茶と健康

インフルエンザ予防に緑茶は有効なのか?

インフルエンザ予防に緑茶は有効なのか?

インフルエンザの感染力は強く、感染者のくしゃみや咳による飛沫によって、鼻・のど・気管といった呼吸器から感染します。インフルエンザウイルスが体内に入ることで発熱や喉の痛みといった症状を引き起こし、場合によっては肺炎や脳症などといった重い合併症を引き起こすこともあります。

予防接種を受けることは、インフルエンザ対策として効果的な方法の一つですが、予防接種ではウイルスの体内への侵入を防ぐことはできないため、手洗い・うがいやマスクの着用などの対策も必要で、既に実践しているという方も多いのではないでしょうか。しかし、それでもウイルスの侵入を100%防ぐことは難しく、侵入したウイルスから身を守るために緑茶を飲むという方法が注目されています。

インフルエンザウイルスが増える仕組み

インフルエンザウイルスの表面にはタンパク質でできたスパイク状の突起があり、この突起が細胞の表面と結合すると、細胞膜がウイルスを囲む様な状態で細胞の中にウイルスが沈み込みます。その後、細胞膜とウイルスの膜が融合するとウイルスの複製を作成するための情報を細胞の核に送り込み細胞を乗っ取ります。インフルエンザウイルスに乗っ取られた細胞は、ウィルスを作り出すために必要な物質を大量に合成し、新しいウイルスが細胞の表面から芽を出し、切り離されることでインフルエンザウイルスは増殖していきます。

インフルエンザ予防に役立つ緑茶成分

緑茶にはウイルスの感染力を抑制する成分がいくつか含まれており、その中の1つが茶カテキンで、 特にエピガロカテキンガレートと呼ばれるカテキンに強い作用があることが明らかになっている他、茶葉に含まれるストリクチニンと呼ばれる成分もカテキンとは違った仕組みでウイルスの感染を防ぐことが分かっているそうです。

茶カテキン

茶カテキンがウイルスに作用するのは、ウイルスが細胞膜と結合する前と、新しく作られたウイルスが細胞から切り離された後の段階で、茶カテキンはウイルス表面にあるスパイク状のたんぱく質と結合することで、ウイルスと細胞膜の結合を阻害することで、インフルエンザ感染を防ぎます。

ストリクチニン

ストリクチニンが作用するのは、ウイルスが細胞の表面と結合した後の段階で、ウイルスが細胞の表面と結合すると細胞膜に囲まれながら細胞の中に沈み込んでいき、ウイルスの膜と細胞膜が融合することで、ウイルスが細胞の中に侵入していきますが、ストリクチニンはこの膜の融合を阻害することで、ウイルスに感染するのを防いでいると考えられています。

その他の細菌に対する殺菌作用

三井農林(株)食品総合研究所の研究によると、緑茶は茶カテキンの作用によってインフルエンザウイルスの他にも、黄色ブドウ球菌やセレウス菌・ウェルシュ菌などの食中毒を引き起こす耐熱性の細菌にも殺菌作用があり、一般的に飲まれているお茶に含まれるカテキン濃度で効果を発揮することが分かっている一方、ビフィズス菌などの善玉菌に対しては、高い濃度でなければ作用しないことも分かっています。

緑茶でインフルエンザ感染を予防する方法

緑茶でインフルエンザ感染を予防する方法

ここからはインフルエンザ予防に効果的な緑茶うがいの方法や、カテキンを効率的に摂取する方法についてご紹介していきます。

緑茶うがい

緑茶うがいによるインフルエンザの予防効果を調べるために、特別養護老人ホームの入所者を対象とした調査では、1日3回の緑茶うがいを3ヶ月間実施した結果、水でうがいした入所者と比べインフルエンザの発症率が低いということが静岡県立大学の調査では明らかになっています。

緑茶うがいの方法

1、口をゆすぐ

ウイルスや細菌は喉だけではなく口の中にも潜んでいるため、まずはお茶で口の中をゆすぎます。

2、うがいをする

お茶を口に含み上を向いてうがいを行いますが、1度では効果が薄いそうなので数回行います。

3、 再度口をゆすぐ

最後に口をゆすいで完了です。

緑茶を飲む

静岡県菊川市で実施された同市内の全小学生を対象とした調査では、1日1~5杯の緑茶を飲む児童は、1杯以下の児童と比べてインフルエンザの発症率が少ないことが明らかになりました。

効果的な緑茶の飲み方

血液中のカテキンの濃度は、お茶を飲んで約2時間でピークを迎えた後、徐々に低下していき12時間後には血液中から完全に無くなります。 一度に大量のお茶を飲むよりも、血液中のカテキンの濃度を一定以上に保つため、少ない量の緑茶を時間を空けながら数回に分けて飲んだ方がカテキンの効果を受けられやすいと言われています。

まとめ

まとめ

・緑茶は茶カテキンとストリクチニンの働きによってインフルエンザウイルスの感染を防ぐ。

・緑茶うがいは、口をゆすぐ→うがい→口をゆすぐの順で行う。

・血液中のカテキン濃度を保つには、少量の緑茶を時間を空けながら飲むと効果的。

緑茶のインフルエンザ予防効果とその活用方法についてご紹介しましたが、緑茶にはカテキンやストリクチニン以外にも、ビタミンCやテアニンといった免疫力を高める成分が含まれるなど、他にも健康に良い影響をもたらす成分が含まれています。あなたの生活の中に緑茶を飲むという習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

緑茶にはどんな効能があるの?

緑茶の効能にはどんなものがあるの?

参考

島根県感染情報センター インフルエンザウィルスの増殖サイクル https://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/topics/flu/flu_cycle.htm

三井農林(株)食品総合研究所 茶カテキン類の機能性とそれらの応用例

(社)静岡県茶業協議会 知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ お茶の効用を科学する