深蒸し茶と煎茶の違いは?【煎茶の種類】
深蒸し茶とは?
茶葉は酸化酵素の働きによって放っておくと発酵が進むため、緑茶の製造では茶葉に熱を加え発酵を止める殺青という工程があります。熱を加える方法には蒸気で蒸す方法と釜などで炒る方法があり、蒸気を用いた方法が現在主流となっています。静岡県の山間部で栽培された茶葉は、葉に厚みがあり通常の蒸しでは青臭さが残ることが多かったため、そういった欠点を克服するために考え出された製造方法が「深蒸し製法」です。現在では静岡県以外の全国各地でも深蒸し茶が製造されています。
深蒸し茶の原料
深蒸し茶の原料になるのは先にご紹介したとおりお茶の木の葉で、やぶきたなどさまざまな品種が用いられます。
深蒸し茶はどうやって作るの?
深蒸し茶は生の葉の発酵止めるため最初に蒸気で60~100秒ほど熱を加え、葉打機という機械で茶葉をふるいながら 高温の風を当てて水滴を飛ばします。 次に粗揉機→揉捻機→中揉機という機械で茶葉を揉みながら熱風で茶葉を乾燥させていきます。その後、精揉機という機械で茶葉の形を整え、乾燥機で熱風を当てながら水分量が5%程度になるまでさらに乾燥させます。
仕上げの工程では深蒸し茶になる「本茶」とそれ以外の「出物」に選別され、火入れを行なった後、合組(ブレンド)して深蒸し茶が完成します。
深蒸し茶は渋味が少ない
深蒸し茶は青臭さが少なく短い浸出時間でも、濃厚な味や色が簡単に出せるという特徴があり、渋みが少なくまろやかな味わいの緑茶です。蒸し時間が長いため煎茶と比べると茶葉が細くなり、これにより水色は濁りのある深い緑色になります。
煎茶とは?
煎茶は深蒸し茶と区別するために普通蒸し煎茶と呼ばれることもあり、最も一般的な方法で製造される緑茶です。
煎茶の原料
煎茶も深蒸し茶と同様にお茶の木の葉から作られます。
煎茶はどうやって作るの?
深蒸し茶同様に煎茶も蒸気で茶葉を蒸しますが、深蒸し茶よりも熱を加える時間は短く蒸し時間は30秒程です。その後の工程は深蒸し茶と同じで、乾燥させながら茶葉を揉んだ後、精揉機で茶葉の形を整え熱風で乾燥を行い、仕上げの工程で煎茶になる本茶とそれ以外の出物を選別します。この出物もお茶にすることがき、代表的な出物のお茶には「茎茶」や「芽茶」「粉茶」などがあります。
煎茶は旨味・渋味・香りのバランスがとれた味わい
煎茶はさわやかな香りとほのかな甘みがあり、旨味・渋みのバランスが取れた緑茶です。深蒸し茶は細かい茶葉がお湯に混じり濁りのある水色になりますが、煎茶は濁りがなく透明な金色をしています。
深蒸し茶と煎茶の違い
深蒸し茶と煎茶は最初の茶葉を蒸す工程以外はほとんど同じ方法で製造されます。深蒸し茶の「深蒸し」とは煎茶よりも蒸し時間が長いことを意味し、先にご紹介したとおり煎茶の2~3倍ほどの時間をかけて茶葉に熱を加えます。深蒸し茶と煎茶の違いは茶葉を蒸す時間に違いがあり、この違いによってお茶の水色や味わいにも違いが出てくるのです。また、深蒸し茶よりもさらに長い時間茶葉を蒸した「特蒸し茶」と呼ばれる緑茶も存在します。
深蒸し茶の淹れ方
お湯で淹れる方法
1、一人当たり2gの茶葉と80mlのお湯を用意します。
2、用意した深蒸し茶を急須に入れ75℃程度お湯を注ぎ30秒ほど浸出させます。
3、お茶の濃さを調整しながら回し注ぎします。この時急須の中にお湯が残っていると2煎目を淹れる時に渋みが強くなってしまうため、最後の一滴までしっかりと注ぎます。
4、2煎目からは味が出にくくなるため、少し温度を上げて80℃程度お湯で浸出します。
水出しで淹れる方法
深蒸し茶は煎茶と比較して味が水に溶け出しやすいので、水出して淹れても美味しく飲むことができますので、水出しで入れる方法もご紹介します。
1、水1Lにつき10gの深蒸し茶を用意します。
2、深蒸し茶をティーバッグに詰めた後、麦茶ポットやサーバーに入れ水を注ぎます。
3、冷蔵庫で冷やしながら半日ほど浸出させます。
ティーバッグを使う方法以外にも、冷茶用のボトルを使って浸出する方法もあり、こちらも同様の要領で淹れることができます。
煎茶の淹れ方
煎茶も深蒸し茶と同じような要領で淹れることができますが、深蒸し茶よりも浸出時間を長くとります。
1、一人当たり2gの煎茶と80mlのお湯を用意します。
2、用意した煎茶を急須に入れ75℃程度お湯を注ぎ60秒ほど浸出させます。
3、お茶の濃さを調整しながら回し注ぎします。急須の中にお湯が残っていると2煎目を淹れる時にお茶が渋くなってしまうため、最後の一滴までしっかりと注ぎます。
4、2煎目からは味が出にくくなるため、少し温度を上げて80℃程度お湯で浸出します。
まとめ
・ 深蒸し茶の「深蒸し」とは蒸し時間が長いことを意味している。
・深蒸し茶と煎茶の違いは蒸し時間の長さにあり、これによって味わいや水色にも違いが出る。
・深蒸し茶は味が出やすいため、水出して淹れても美味しい。
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