こんなにあった鹿児島のお茶の生産地
全国で栽培されているお茶の80%はやぶきたという品種ですが、お茶の生産量全国第2位を誇る鹿児島県では、それぞれの地域に合わせた多彩な品種が栽培されているため、産地ごとに味わいの違う個性的なお茶が作られています。
この記事では鹿児島県内の主要なお茶の生産地とその特徴をご紹介していきます。
南九州市
南九州市は薩摩半島の南に位置し、お茶の栽培に適したと土壌と恵まれた日照条件、安定した降水量から、市町村別生産量全国1位を誇る県内最大のお茶の生産地です。
全国的にも高品質なお茶として知られている「知覧茶」の生産地でもあり、知覧茶は2017年までに 全国茶品評会において大臣賞33回、産地賞23回を受賞しています。
若葉系の爽やかな香りと深みのある緑色、強い旨味が特徴です。
志布志市
志布志市は大隅半島の太平洋側に位置し、近年、生産量が増加している地域で、荒茶の生産量は県内で2番目に多く「志布志茶」「有明茶」の産地です。
ほのかな甘い香りが特徴で、玉緑茶の生産も行われています。
霧島市
霧島山麓の宮崎との県境にほど近い地域で生産される「霧島茶」の産地で、荒茶の生産量は県内で3番目に多い地域です。
霧深く年間を通じて寒冷な気候で栽培され、透き通った黄緑色の水色、滋味豊かな味わいと高い香りが特徴で、お茶を摘み取る前に一定期間日光を遮って栽培する「かぶせ茶」の生産も行われ、これにより旨味の強いお茶を作ることができます。
枕崎市
南九州市の西側に位置する地域で、明治30年頃からお茶の栽培が始まり、日本で最初に紅茶の栽培に成功した生産地です。
普通蒸し茶から深蒸し茶まで幅広い種類のお茶が生産され、県内でも早い時期に収穫が始まる走り新茶の産地です。
人気品種さえみどり誕生の地でもあり、この品種から作られたお茶は、渋味が少ないため甘味を感じられるお茶になります。
財部(たからべ)
霧島連山の麓位置する「財部茶」「曽於茶」の産地で、普通蒸し茶・深蒸し茶が生産されています。
寒暖差が大きく霧の多い地域で育てられた財部産のお茶は、しっかりとした旨味とコクが特徴です。
末吉(すえよし)
山間部に位置する「末吉茶」「曽於茶」の産地で、深蒸し茶の生産に力を入れている地域です。
生産されるお茶はすっきりとした味わいと鮮やかな緑色で、平野部で栽培されたお茶と比べ、香りが豊かなのが特徴です。
松元
鹿児島市の西部に位置する地域で、水瓶で茶葉を炒った後、手もみで仕上げる「はんず茶」の伝統を継承する「まつもと茶」の産地で、茶葉本来の味わいを楽しめるのが特徴です。
鹿屋市(かのやし)
「かのや茶」の産地で、収穫時期の早い沿岸部と収穫時期の遅い内陸部でお茶が栽培されているため、長い期間お茶が生産される地域です。
深蒸し茶の生産に力を入れており、のどごしの良さと香りの高さが特徴です。
日置市
薩摩半島の東シナ海側に位置する地域で、島津義弘が度々茶会を催したとされる歴史のある産地で、県内では珍しくなった釜炒り茶「はんず茶」の製造が現在も行われています。
田代
大隅半島の南にある霧がかかりやすく、降水量の多い山間部に位置する産地で、日本茶の代表的な品種であるやぶきたを主に栽培しています。
「田代茶」には独特な甘い香りがあり、これは山間部特有の気候によって生み出されるもので「山の香り」と呼ばれています。
大根占
大隅半島南部の錦江湾に面した「大根占茶」の産地で、温暖な気候から早い時期からお茶の収穫が始まる地域です。
上質の深蒸し茶が生産される地域で、透明感のある鮮やかな水色と爽やかな香りが特徴です。
さつま町
鹿児島県の北部に位置する「さつま茶」「宮之城茶」の産地で、さっぱりとした飲み口が特徴のお茶が生産される地域です。
種子島
温暖な気候に適した品種である「くりたわせ」「松寿」といった極早生品種が栽培され、全国で最も早く新茶が収穫される地域で、大走り新茶として知られています。
「種子島茶」は、甘味のある香りが特徴のお茶です。
まとめ
・鹿児島県内各地でお茶の栽培が行われ、それぞれ個性的な味わいを持つお茶が作られている。
・ 薩摩半島の中部では、現在も伝統的な釜炒り製法が継承されている。
・南部には深蒸し茶の生産が盛んな地域が多い。
鹿児島茶といっても全国的に有名な産地から、知る人ぞ知る産地までこれだけ多くの生産地が存在し、それぞれの地域の特色を生かしたお茶作りが行われています。
たくさんの銘柄の中から、あなただけのお気に入りの銘柄を探してみてはいかがでしょうか。