村上茶の3つの特徴とは?お茶の種類や美味しい入れ方をご紹介!

村上茶の3つの特徴とは?お茶の種類や美味しい入れ方をご紹介! お茶の産地

村上茶は有名なお茶のブランドではあるものの、生産量が少ない上にほとんどが地元で消費されるため、他の地域に出回ることが少ないお茶です。

そのため、飲んだことがなく、どのようなお茶なのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな村上茶の特徴や種類、美味しい入れ方について解説していきますので、ぜひご覧ください。

村上茶とは?

村上茶は北限のお茶として紹介されることが多いですが、何が北限なのかご存知でしょうか。

まずは、村上茶がどのようなお茶なのかを解説していきます。

北限のお茶

村上茶は新潟県村上市周辺で生産される緑茶で、村上市は商業的なお茶の生産地の北限とされています。

お茶の木は亜熱帯性の植物で、気温が-10度を下回ると枯れてしまいます。

村上市周辺は冬の寒さが厳しい地域ではありますが、積もった雪によってお茶の木が-4度程に保たれるため、お茶の栽培が成立します。

新潟県村上市から茨城県大子町を結ぶラインが、お茶の集散地の北限と言われていますが、規模は小さいもののこのラインより北でも、お茶の栽培は行われており、栽培自体の北限地は青森県石黒市とされています。

歴史

村上茶の起源には2つの説があり、ひとつは江戸時代初期に、村上藩の徳光屋覚左衛門(とくみつやかくざえもん)が、宇治茶の種を取り寄せて、藩の主要産業にしようとしたのが始まりとする説です。

もうひとつは、前述の説と同じ時期に堀直竒(ほりなおより)が江戸駒込の藩邸に植えられていたお茶の木を、村上に持ち帰ったのが始まりとする説です。

明治時代に輸出用のお茶の需要が高まるに従い、村上市周辺のお茶の生産量も増加していき、この時期には紅茶の生産も行われるようになりました。

その後、絹の需要が高まるにつれて、お茶よりも桑が生産されるようになったことや、他の産地の台頭を受けて、次第に競争力を失っていき生産量が減少していきました。

それでも、生産者の努力によって現在でも村上茶が守られ続けています。

また、最近では若手の生産者によって、紅茶の生産も行われるようになりました。

旬の時期

その年の気候によって前後しますが、村上茶の旬の時期はおおむね5月の下旬頃です。

お茶の葉は、年に数回収穫することができますが、最も品質が高くて味が良いのは、その年の1番最初に収穫される新茶です。

そのため、お茶の旬の時期とはこの新茶が収穫できる時期を指します。

産地や製造業者にもよりますが、新茶の収穫後、数週間程で店頭に新茶が並び始めます。

新茶の時期は何月?【産地別にご紹介】

村上茶の種類

村上茶の種類

村上茶はほとんどが煎茶に加工されますが、一部では紅茶も生産されています。

ここは、代表的な村上茶の種類について解説していきます。

煎茶

村上茶のほとんどは、普通蒸し煎茶に加工されます。

煎茶とは、茶葉を収穫した茶葉を蒸した後、乾燥させながら揉んで作られる最も一般的な緑茶で、深蒸し茶や玉露、番茶なども基本的に同じ方法で作られます。

煎茶をはじめとする緑茶は、茶葉が発酵する前に加工する不発酵茶に分類されます。

茶葉を発酵させないため、茶葉本来の香りや緑色が残るお茶になるのです。

【煎茶の製造工程】

  1. 熱蒸
  2. 葉打ち
  3. 粗揉
  4. 中揉
  5. 精揉
  6. 乾燥
  7. 選別
  8. 整形
  9. 火入れ
  10. 合組

旨味と渋味のバランスと爽やかな香りが煎茶の特徴ですが、村上茶は他の産地と比較すると日照時間が短いため、茶葉の渋味成分が少なくなる傾向にあります。

紅茶

村上茶は煎茶のイメージが強いですが、先にご紹介した通り明治時代には紅茶の生産も行われていました。
一時的に廃れてしまったものの、一部では再び紅茶も生産されるようになりました。
緑茶が不発酵茶なのに対し、紅茶は茶葉を発酵させる発酵茶に分類されます。
紅茶は、茶葉を萎れさせて(萎凋)揉んだ後、茶葉を発酵させて作られます。

【紅茶の製造工程】

  1. 萎凋(いちょう)
  2. 揉捻
  3. 玉解き・ふるい分け
  4. 酸化発酵
  5. 乾燥
  6. 仕上げ

萎凋の時間が長いほど、甘い香りが強い紅茶になります。

また、緑茶の様に蒸気で蒸して発酵を止めるのではなく、紅茶は高温の熱風で乾燥させることで、茶葉の発酵止めています。

村上茶の3つの特徴

村上茶の3つの特徴

村上茶には「在来種を栽培」「収穫は2番茶まで」「強い甘味」という3つの特徴があります。

これらの特徴について詳しく解説していきます。

在来種を栽培

全国的に最も多く栽培されている品種は「やぶきた」で、村上市でもやぶきたが最も多く生産されています。

全国的に在来種の生産量は少なくなりつつありますが、村上市の一部では現在でも在来種の栽培が行われています。

この在来種は自然交配によって生まれたもので、寒さに強いのが特徴です。

村上茶の中には、やぶきたとこの在来種をブレンドした煎茶も存在し、地元では高級煎茶として珍重されています。

在来種をブレンドすることで、渋みがやや強い昔ながらの味わいのお茶になります。

収穫は2番茶まで

温暖な気候のお茶の生産地では、新茶(1番茶)、2番茶、3番茶、4番茶と、年に4回ほど茶葉を収穫しますが、村上茶は新茶と2番茶の年2回のみ収穫です。

生産量が非常に少ない上に、生産された村上茶のほとんどが地元で消費されます。

そのため、村上茶は流通量が少なく、手に入れるのが少し難しい貴重なお茶と言えます。

強い甘味

村上茶の特徴は、強い甘味にあります。

村上市は他の産地と比較すると日照時間が短いため、茶葉に含まれる渋味成分が少なくなっています。

この渋味成分はカテキンと呼ばれる成分で、カテキンは茶葉に含まれるテアニンが日光にあたることで合成されます。

テアニンは茶葉の甘味成分で、日照時間が短いとカテキンが少なくテアニンが多い茶葉が育ちます。

このような理由から、村上茶は甘みが強いお茶になるのです。

村上茶の入れ方

村上茶の入れ方

ここからは、村上市で生産されている代表的なお茶である煎茶と紅茶の入れ方について解説していきます。

煎茶の入れ方

1煎目は、75度前後のお湯で入れ、2煎目、3煎目は徐々にお湯の温度を高くしていきます。

最初に急須や茶碗にお湯を移すのは、急須や茶碗を温めつつお湯の温度を下げる目的があります。

分量

  • 煎茶 2g/1人につき
  • お湯 80cc/1人につき

入れ方

  1. 急須にお湯を注ぐ
  2. 急須から茶碗にお湯を移して、余ったお湯は捨てる
  3. 用意した茶葉を急須に入れて、茶碗のお湯を急須に戻す
  4. 30秒程浸出
  5. 少しずつ廻し注ぎする

急須の中にお湯が残っていると、2煎目を入れたときに渋くなってしまうため、最後まで注ぎきるようにしましょう。

紅茶の入れ方

ポットにお湯を注ぐ際は、茶葉が撹拌されるように勢いよく注ぐと、おいしく入れることができます。

分量

  • 紅茶 2g/1人につき
  • お湯 150cc/1人につき

入れ方

  1. ポットとティーカップにお湯を注いで温めておく
  2. ポットとティーカップのお湯を捨てる
  3. ポットに用意した紅茶を入れる
  4. 沸騰したお湯を勢いよくポットに注く
  5. ふたをして3分ほど浸出させる
  6. ポットの中をスプーンで軽く混ぜる
  7. 茶こしを使いながら廻し注ぎする

紅茶もお茶の濃さが同じになるように廻し注ぎ、最後の一滴まで注ぐようにしましょう。

まとめ

まとめ
  • 村上茶は北限のお茶
  • 5月下旬ごろが旬の時期
  • 煎茶のほか紅茶も生産されている
  • 強い甘味が特徴

村上茶は、生産量が少なくほとんどが地元で消費されてしまうため、手に入れるのが少し難しいお茶です。

もしも入手できる機会があれば、試してみると良いでしょう。

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