お茶に含まれるビタミンの種類と効果とは?

お茶のビタミンと効果 緑茶と健康
ガラスのカップとお茶

茶葉に含まれるビタミンには水溶性のビタミンCとビタミンB2、脂溶性のビタミンEがあり、煎茶などを飲むことで摂取できるのは水溶性のビタミンCとビタミンB2の2種類ですが、抹茶や粉末煎茶は茶葉を丸ごと使っていることから、脂溶性のビタミンも摂取することができます。

ビタミンC

注がれるお茶

ビタミンCは水溶性のビタミンで湯呑1杯の煎茶に4mg程度含まれ、厚生労働省による一日の推奨摂取量は成人で100mgとされ、ビタミンCは体内で合成することができないので外部から取り入れる必要があります。

ビタミンCを多く含む食品にはレモンやオレンジなどの柑橘類やブロッコリー等がありますが、これらの食品に含まれるビタミンCは熱に弱いのですが、お茶に含まれているビタミンCは熱に強いという特徴があり、お湯で淹れても破壊されることはありません。

ビタミンCは余剰摂取した分は尿と一緒に排出されることから、多量に摂取しても健康への影響は少ないとされていますが、腎機能障害を持つ人が1日に数g摂取すると結石ができるリスクが高くなる可能性があります。

ビタミンCの効果

美容効果

肌のハリを保つ

ビタミンCは細胞と細胞をつなぐコラーゲンの合成に必要で、コラーゲンには肌の水分の減少を防ぎ、肌の弾力を保つ役割がありますが、不足すると肌のハリが失われる原因になります。

美白効果

紫外線を浴びることによってメラニンが過剰に作られてしまうとシミの原因になります。

メラニンはチロシンという物質が酸化したもので、ビタミンCは抗酸化作用によって、この酸化を阻害する効果がある他、酸化したチロシンを還元することで、シミの色を薄くする効果があると言われています。

免疫力向上

ヒスタミンは外傷などによって活性化されるアレルギー症状の原因となる物質で、ビタミンCを摂取すると血液中のヒスタミンが減少し、体内に侵入してきたウイルスなどを排除する白血球の活性が上がり免疫力が増強されます。

自律神経安定

ストレスや生活のリズムの乱れによって、自律神経のバランスが崩れると疲労感や頭痛の他、イライラするなど様々な症状を引き起こします。

ストレスを受けると体はアドレナリンを分泌して抵抗力を上げようとしますが、このアドレナリンの合成にはビタミンCが必要で、ストレスを受けるとビタミンCが大量に消費され、摂取する量が少ないとビタミンCが不足し自律神経のバランスが崩れ、体調を崩す原因になる為、ビタミンCを摂取することはストレスから体を守ることに繋がります。

ビタミンB2

加工された茶葉

ビタミンB2は水溶性のビタミンで1杯の煎茶に0.05mg程度含まれ、1日に必要な量は70歳以上を除く成人男性が1.5~1.6mg、同じく女性が1.1~1.2mgとされています。

ビタミンB2は水溶性のビタミンである為、体内に蓄積することはできず余剰分は尿と一緒に排出されることから、多量摂取による健康被害は起こりにくいとされています。

ビタミンB2には脂質やたんぱく質の代謝に使われ、皮膚や粘膜を維持する効果があり、不足すると口内炎等、皮膚や粘膜が炎症を起こす恐れがあります。

ビタミンB2の効果

動脈硬化予防

高血圧などによってできた血管の傷に、悪玉コレステロールが入り込み酸化し沈着すると、それを処理する為に白血球が集まり血管壁が厚くなることで血管が狭くなってしまい動脈硬化を起こします。

ビタミンB2にはこの悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果があります。

成長促成効果

脂質の代謝にはビタミンB2が必要な他、健康な皮膚や髪をつくるなど細胞の発育に不可欠なビタミンで、成長期の子供の場合、不足すると発育障害になる恐れもあります。

ビタミンE

粉末茶と湯呑

ビタミンEは脂溶性のビタミンで水に溶けない為、お茶をお湯や水で淹れても摂取することはできませんが、抹茶や粉末煎茶は茶葉そのものを粉末にして飲むお茶なのでビタミンEを摂ることができます。

湯呑1杯分の抹茶には約0.4mg、粉末煎茶には約0.1mgのビタミンEが含まれており、1日に必要な量は成人男性が6.5mg、女性が6mgとされています。

ビタミンEが不足すると細胞膜が酸化によって傷つけられ、神経障害などが現れ血行が悪くなり、頭痛・肩こりなどの症状が現れることがあります。

ビタミンEの効果

老化防止

ビタミンEは細胞膜の脂質に溶け込み、活性酸素によって体内の脂質が酸化するのを防ぎ、細胞の老化を遅らせる効果があります。

更年期障害の症状緩和

更年期に入り卵巣機能が低下すると女性ホルモンの分泌量が減少し、脳が自律神経を通じてホルモンを分泌するよう命令を出しても、分泌されないと脳はさらにホルモンの分泌を促そうとします。

これによって自律神経が不安定になり頭痛やめまいなど様々な症状が現れますが、ビタミンEには女性ホルモンの分泌をサポートし、症状を緩和する作用があります。

血行促進

悪玉コレステロールが増え、それが酸化すると血管が狭くなり血行が悪くなってしまいますが、ビタミンEは抗酸化作用によって悪玉コレステロールの酸化を防ぐことで血行をよくし、肩こりや冷え・手足のしびれを改善する効果があります。

ビタミンCと一緒に摂ると抗酸化作用が向上

ビタミンEは抗酸化作用によって、脂質の酸化を防ぐ働きがありますが、ビタミンCも同時に摂取するとビタミンCが酸化したビタミンEを再生することから、ビタミンEの抗酸化作用が向上します。お茶を飲むことで気軽にビタミンEとCの両方を同時に摂ることができます。

どのぐらいお茶を飲めばいいのか?

抹茶とお菓子

お茶だけで一日に必要なビタミンを摂取しようとすると、大量にお茶を飲む必要があり、あまり現実的ではありませんが、日本人は食事を通じてある程度ビタミンを摂取しているので、食事の時や息抜きにお茶を数杯飲むだけで、食事で不足しているビタミンを補うことが出来ます。

厚生労働省の平成29年国民健康・栄養調査結果概要によると、成人した日本人のビタミンC・B2・Eの平均的な1日の摂取量は下の表の通りです。

ビタミンの平均摂取量

ビタミンCは男女ともに59歳以下で9~35mgの不足が見られ、煎茶にすると2~9杯分ということになり、ビタミンB2は49歳以下の男性で0.05~0.1mg不足しており、煎茶にすると1~2杯分です。

ビタミンEは29歳以下の女性が0.2mg不足しており、抹茶にすると0.5杯分になります。

あくまでも目安なので自身の体質に合わせながら、無理のない範囲で生活の中にお茶を取り入れてみてはいかがでしょうか。