緑茶が肝臓を保護する？【肝炎予防効果と過剰摂取によるリスク】

緑茶には様々な効用があることが知られていますが、その中の一つに肝機能保護作用があるというのはあまり知られていないのではないでしょうか。緑茶には肝臓を保護する作用がある一方、過剰摂取は肝機能障害を引き起こす可能性があるとも言われています。この記事では緑茶が肝臓に作用すると言われている理由とそのリスクについてご紹介していきます。

肝炎とは

肝炎とは何らかの原因で肝臓が炎症を起こす病気で、進行すると肝硬変や肝がんへ発展する可能性もあります。肝炎には炎症を引き起こす原因によって自己免疫性肝炎や薬剤耐性肝炎、アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎などがあり、日本で多いのはウィルス性の肝炎でA～E型に分けられます。特に感染者数が多いのはB型とC型で感染者数はB型が110～140万人、C型は190～230万人と言われています。肝臓は「沈黙の臓器」といわれ肝炎になっても自覚症状がいまま進行することもあり、肝炎が慢性化すると炎症を起こした箇所にコラーゲンが蓄積され線維化が起こり、肝硬変へ進行し最終的に肝がんを発症する可能性があります。B型は一過性で終わるケースが多く自覚症状が出ないまま治っていることも多いと言われていますが、C型は慢性化しやすく肝がんの原因の約70％を占めています。

緑茶が肝機能を保護する理由

炎症の原因となるタンパク質やコラーゲンの生成を抑制

肝炎を発症させたラット用いた実験では、緑茶を摂取させた場合、肝臓内の炎症を促進するタンパク質の生成を抑制し、血液中のそれらのタンパク質も低下するという結果が示され、肝機能障害も抑制されていることが明らかにされました。また、長期的に緑茶を摂取した場合、線維化を促進するタンパク質の生成が抑制され、線維化が抑制されることも示されました。これは緑茶が線維化を促進するタンパク質の遺伝子への働きかけたことによるものと考えられているそうです。

抗ウイルス作用

カテキンには抗ウイルス作用によって、 C型肝炎ウイルスと体内への侵入を防ぎ、肝臓でのウイルスの増殖を抑制することも示され、C型肝炎の予防に寄与するのではないかと期待されています。

活性酸素を除去

活性酸素は他の物質を酸化させる作用を持つ物質で、人の体内に入ってきたウイルスや細菌を殺菌する作用も持っていますが、増えす過ぎると正常な細胞まで攻撃してしまい、肝臓の中で増えると肝炎を引き起こすと考えられています。緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート（ EGCE）には抗酸化作用があり、EGEGの働きによって活性酸素の働きが抑制され、肝炎を予防する効果があるという研究もあります。

過剰摂取による肝機能障害のリスク

緑茶に含まれるカテキンには肝炎を予防する作用がある一方、動物実験でEGCGの過剰摂取は、肝障害の指標となる酵素の血中濃度が上昇し、肝機能障害を引き起こす可能性があることが示されました。

国外ではカテキンサプリメントの摂取によって肝機能障害が引き起こされた例があり、欧米の一部の国ではカテキンサプリメントの販売禁止やカテキンのリスクを明示した上で販売されています。国内ではそのような例は今のところ見つかっていないようですが、これは国外の例は濃縮した高濃度のカテキンを大量に摂取したことによるもので、日本人のほとんどはカテキンをお茶を飲むことで摂取していることから、過剰摂取になりにくいためと言われています。

まとめ

・緑茶は肝臓の炎症を促進するタンパク質やコラーゲンの生成を抑制する。

・ EGCGは活性酸素の働きを抑制することで肝炎を予防する。

・高濃度茶カテキンを大量に摂取すると肝機能障害を引き起こす可能性がある。

肝臓への作用以外にも様々な効能を持つ緑茶ですが、EGCEの他にもカフェインが含まれていることから、大量に摂取するとめまいや吐き気、不眠などの症状を引き起こす可能性があります。

1日600mg程度の茶カテキンを摂取することで健康への効果が現れ始めるようですが、緑茶を飲むと2時間ほどで血液中のカテキン濃度はピークを迎えた後、徐々に減少していきます。12時間程で血液中からなくなるため、カテキンの効果を得るためには血液中のカテキンの濃度を一定以上に保つ必要があり、一度に大量に飲むのではなく少量を数回に分けて飲んだ方が良いと言われています。無理をせず美味しく飲める範囲にとどめるのが、上手な緑茶との付き合い方なのではないでしょうか。