玉露とは?【煎茶との違い】
玉露は日本茶の中でも特に高価な緑茶であり生産量の少なさも相まって、珍重される傾向にあります。最近はペットボトル入りの緑茶にも、「玉露入り」といった商品も見かけるようになりましたが、茶葉から淹れて飲んだことがあるという方は意外と少ないのではないでしょうか。この記事ではそんな玉露についてご紹介していきます。
玉露の味とは?
玉露は強い旨味と甘味、とろりとした口当たりが特徴で玉露を淹れる際には、旨味を凝縮させるため、茶葉を多めに使って少量のお湯で淹れるといった贅沢な方法がとられます。玉露茶碗と呼ばれる小さめの茶碗に注ぎ口の中で転がし、味や香りを感じながら少しずつ楽しむといった飲み方が一般的です。
香りの特徴
玉露には「覆い香」と呼ばれる特徴的な香りがあり、この香りは収穫する前に茶葉に当たる日光を遮ることでうまれる海苔の様な香りのことを指します。お茶に含まれる香り成分は300種類以上あると言われており、その中のジメチルスルフィドという成分が「覆い香」の成分の一つと言われています。
玉露の原料は?
玉露の原料は煎茶や抹茶などの他の緑茶と同じようにお茶の木の葉が原料で、特に玉露では若い新芽茶葉が用いられ、年に数回収穫される茶葉の中でも最も品質の良いものから作られています。煎茶ではやぶきたという品種が最も多く用いられますが、玉露ではさえみどり・あさひ・こまかげ・おくみどりといった品種を原料としている場合が多いようです。
玉露には旨味成分が豊富
玉露の原料となる新芽茶葉にはお茶の渋み成分であるカテキンが少なく、テアニンなどのアミノ酸が多く含まれ、カテキンはテアニンが日光に当たることで合成される成分です。2番茶や3番茶と比べて新芽茶葉にはもともとアミノ酸が多く含まれていますが、収穫前に日光を遮ることでカテキンに変わるアミノ酸を少なくすることで、より旨味の強い玉露に適した茶葉に育ちます。
カフェインを多く含む
豆から淹れたコーヒーには100mlあたり0.04gのカフェインが含まれていますが、同量の玉露の浸出液には約0.27gのカフェインが含まれており、淹れ方にもよりますが玉露にはカフェインがコーヒーよりも多く含まれています。(文部科学省 日本食品標準成分表2015年版)そのため飲み過ぎには注意が必要で、妊婦中の方や小さいお子さんは特に気をつけた方が良いかもしれません。
緑茶に含まれるカフェインについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
煎茶との違いは?
玉露と煎茶の製造工程は同じ
煎茶はおそらく日本人にとって最も馴染みのあるお茶ですが、玉露は煎茶とほぼ同じ工程を経て製造されます。大まかに工程をご紹介すると「蒸し」→「荒揉」→「中揉」→「精揉」→「乾燥」→「仕上げ」といった工程で製造されます。茶葉の酸化酵素の働きを止めるために蒸気で熱を加え、水分を飛ばしながら茶葉を揉んだ後、熱風で乾燥させ仕上げの工程を経て製品が出来上がります。
玉露は被覆栽培
先にご紹介した通り玉露の原料となる茶葉は収穫前に日光を遮って育てられます。これを被覆栽培と呼び、玉露以外にも抹茶の原料である碾茶やかぶせ茶などが同様の方法で栽培されます。玉露の場合はお茶の木の周りに棚を組み、わらや人工繊維の被覆資材で覆い20日程日光を遮って栽培されます。対照的に煎茶は日光は遮らずに栽培した茶葉を原料にして製造されます。
玉露を美味しく飲むにはお湯の温度が重要
玉露は旨味成分を多く含むお茶であるということは先にご紹介しましたが、お茶に含まれる成分には水に溶け出しやすい温度がそれぞれ異なっており、旨味をより引き立てるために玉露を淹れる場合には50℃程の低温のお湯で2分ほど浸出させます。2煎目以降は1煎目よりもお茶の成分が溶け出しにくくなる為、お湯の温度を60℃位まで上げて浸出させます。
玉露の主な産地
玉露の生産量が最も多いのは京都府で、抹茶でも有名な宇治で盛んに栽培されています。福岡県の生産量も多く八女で栽培される玉露も有名です。京都府や福岡県に比べると生産量は少ないですが、静岡県や三重県・熊本県でも玉露の生産が行われているようです。
まとめ
・玉露は強い旨味と覆い香が特徴。
・製造工程は煎茶とほぼ同じ。
・玉露用の茶葉は被覆栽培で生産される。
・玉露は低温のお湯で浸出する。
・京都の宇治や福岡の八女での生産が盛ん。
他の緑茶と比べると高価なお茶ではありますが、興味を持たれた方は一度玉露を体験してみるもの良いのではないでしょうか。
参考
日本茶の辞典 STUDIO TAC CREATIVE
愛する「日本茶」の本 さくらBooks
Wikipedia https://ja.wikipedia.org