緑茶の淹れ方【おいしく淹れる6つのコツ】
湿度や直射日光を避けて保管する【コツ1】
どれだけ丁寧に緑茶を淹れても、茶葉が痛んでしまっていては元も子もありません。まずは茶葉の品質を保つための保管方法をご紹介します。
茶筒に保管
開封後の茶葉の劣化を完全に止めることは難しいため、早めに飲みきってしまうのが一番良いのですが、出来る限り茶葉の品質を保つためには、茶葉を痛める原因である高温・湿気・酸素・日光を避けて保管する必要があります。茶葉を保管する容器は密閉できて光を通さない金属製の茶筒が適しています。高温を避けるため10℃を超えない涼しい場所に保管するようにしましょう。
ジップ付きのビニール袋に保管
茶葉が入っていた袋の空気を抜き、袋の口をクリップ等で留めた後、ジップ付きの調理用ビニール袋に入れ冷蔵庫で保管する方法もあります。
軟水で淹れる【コツ2】
水には硬度があり水の中に含まれているミネラルの量によって硬水と軟水に分かれます。硬度が高ければ高いほど緑茶に含まれるカテキンが溶け出しにくくなると言われており、カテキンは緑茶に含まれる渋味のもとで、緑茶らしい味わいをかたち作る成分の一つです。そのため緑茶に適した水は軟水と言われています。
水道水で充分おいしい緑茶になる
日本国内のほとんどの地域の水道水は軟水と言われており、水道水でも充分おいしい緑茶を淹れることができます。
カルキ臭い場合はお湯を沸かす際に、沸騰後すぐに火を止めるのではなく2分ほど沸騰させ続けることで、カルキ臭さを抜くことができます。ですが、沸騰させる時間があまりにも長すぎると、水に含まれる炭酸ガス等が抜けてしまい緑茶を淹れるのに適さない水になってしまいますので注意しましょう。
緑茶の種類に合わせて温度のお湯を調整する【コツ3】
茶葉に含まれる成分は水に溶け出しやすい温度に違いがあり、淹れる温度によっても味わいが異なります。渋味成分であるカテキンと苦味成分であるカフェインは、お湯の温度が高いほど水に溶け出しやすく、温度が低くなると水に溶け出しにくくなります。一方、甘味・旨味成分であるテアニンはカテキンやカフェインとは異なり低い温度でも水に溶けたしやすい性質があります。
お湯の温度を調整する方法
お湯の温度を調整する最も簡単な方法は、お湯を器に移しかえる方法です。お湯の温度は器を移すごとに約8℃づつ下がっていきます。例えばお湯の温度を80℃程に調整したい場合は、ポットで沸かした90℃のお湯を、急須に移すことで80℃強に調整することができます。そこからさらに温度を下げたい場合は、急須のお湯を茶碗に移すことでさらに温度を下げることができます。
緑茶の種類別おすすめの温度
緑茶の種類別に淹れる温度の一例をご紹介します。緑茶の好みは人によって異なりますので、ご紹介した温度を参考に、ご自身の好みに合わせて調整していきましょう。
煎茶・深蒸し茶:約75℃
2煎目以降は味が出にくくなるので、約80℃のお湯で淹れます。
番茶・ほうじ茶・玄米茶:約90℃
高めの温度で淹れることで緑茶の香りは立ちやすくなります。また、高い温度で入れることによってカテキンが多く溶け出し、渋味のある緑茶らしい味わいになります。そのため、番茶やほうじ茶・玄米茶には熱めのお湯が適しています。
玉露:約40℃
温めのお湯で入れることによって、お湯に溶け出す渋味・苦味成分が少なくなり、玉露の旨味を引き立てることができます。2煎目以降は煎茶同様に味が出にくくなるため、浸出回数を重ねるごとに約10度づつ高くしていきます。
緑茶の種類に合わせて浸出時間を調整する【コツ4】
お湯の温度によって、水に溶け出す成分の量に違いが出るということを先にご紹介しましたが、浸出時間を長くすると溶け出す成分の量が多くなるため、浸出時間によっても味わいが変わっていきます。
緑茶の種類別おすすめの浸出時間
緑茶の種類別に浸出時間の一例をご紹介します。こちらも紹介した時間を参考にご自身の好みに合わせて調整していきましょう。
煎茶:約60秒
深蒸し茶:約30秒
番茶・ほうじ茶・玄米茶: 約30秒
玉露:約120秒
廻し注ぎ【コツ5】
廻し注ぎとは急須に入った緑茶を少しずつ、それぞれの茶碗に順番に2・3周しながら注いでいくことです。こうすることで緑茶の濃さを均等にすることができます。
急須の緑茶は最後まで注ぎきる【コツ6】
緑茶は後に注いだものほど味が濃くなりますので、最後の一滴まで注ぎ切りましょう。また、急須の中にお湯が残ったままになっていると、渋味成分が溶け出し続けるため、2煎目以降の渋味が強くなってしまいます。
緑茶のおいしい淹れ方
日本人に最もよく飲まれている煎茶の淹れ方を例にご紹介していきますが、お湯の温度や量・浸出時間を調整することで、他の緑茶にも応用できます。
お湯で淹れる
1、一人当たり2gの茶葉と80mlのお湯を用意します。
2、空の急須にお湯を注ぎ、そこから茶碗にお湯を移します。こうすることでお湯の温度を調整しつつ、急須と茶碗を温めることができます。急須に余ったお湯は捨てます。
3、用意した人数分の茶葉を急須に入れ、先ほど茶碗に注いだお湯を全て急須に戻します。
4、そのまま約60秒浸出させます。
5、廻し注ぎをし、急須の緑茶を最後まで注ぎきります。
6、 2煎目は約80℃お湯で浸出します。
水出しで淹れる
1、水1Lに対し10gの茶葉を用意します。
2、茶葉をティーバッグに詰めた後、麦茶ポットやサーバーに入れ水を注ぎます。
3、冷蔵庫で冷やしながら半日ほど浸出させます。
冷茶用のボトルを使えばより手軽に冷茶を淹れることができます。
まとめ
・緑茶は湿度や酸素・直射日光・高温を避けて保管する。
・軟水で淹れる。
・緑茶の種類に合わせてお湯の温度を調整する。
・緑茶の種類に合わせて浸出時間を調整する。
・廻し注ぎする。
・最後まで注ぎきる。
「おいしい」と感じる味は人それぞれですので、ご紹介した6つのコツを押さえて、好みの味わいを探求してみてはいかがでしょうか?
参考
日本茶の事典 (株)スタジオ タック クリエイティブ