茶器にはさまざま種類がありますが、何がどう違うのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
いざ、揃えようと思っても、どのように選べばよいのかわからなくなりますよね。
そういった方のために、茶器の種類や茶器の選び方について解説していきますので、ぜひ茶器を選ぶ際の参考にしてください。
茶器とは?
茶器は狭義では、抹茶を入れる容器を指す言葉ですが、広義には茶道具全般を指す言葉です。
また、点茶(抹茶を点てること)の道具を指している場合もあります。
この記事では、広義の茶道具全般について解説します。
茶器の種類
まずは、日本茶を入れる際によく用いられる茶器の種類について解説します。
急須
ご存知の通り、急須は茶葉の味を抽出するための茶器です。
取っ手のついている位置によって、いくつかの種類が存在します。
【取っ手の位置による分類】
横手型急須 | 注ぎ口に対して取っ手が横についているタイプの急須 |
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上手型急須 | 注ぎ口に対して取っ手が上に付いているタイプの急須 |
後手型急須 | 注ぎ口の反対側に取っ手がついているタイプの急須 |
また、急須にはさまざまなサイズが存在し、1号、2号、3号と番号が大きい程、容量が大きくなります。
もっとも使われているのが1.5号と2号で、一般的なサイズの湯呑にお茶を注ぐ場合、1.5号は3人分、2号は5人分入れることができます。
茶合
茶合(ちゃごう)は、茶葉の量を量るための筒状のさじで、竹などを半分に割って作られます。
毎回同じ味でお茶を楽しみたい場合に必要な茶器ですが、家庭で入れる場合は、ティースプーンなどでも代用することができます。
茶筒
茶筒は茶葉を保管しておくための容器のことです。
さまざまな種類の茶筒が販売されていますが、茶葉の風味は湿気や酸素、光などによって飛んでしまうため、風味を長持ちさせたいのであれば、密閉できて光を通さないステンレス製のものを選ぶと良いでしょう。
お茶を入れる際には、茶さじを使って茶葉の量を量ることが多いですが、茶筒のふたをさじとして使うこともできます。
茶さじを使って茶葉を量る場合、茶葉をすくう時に茶葉を砕いてしまう可能性がありますが、ふたを使えばその心配もありません。
茶碗
茶碗はご存知の通り、急須で入れたお茶を注いで飲むための茶器です。
茶碗もさまざまな種類が存在しますが、お茶の種類に合わせて使い分けると良いでしょう。
茶托
茶托(ちゃたく)とは、茶碗の下に敷く受け皿のことです。
元々はお茶の熱によって、卓が傷むのを防ぐために用いられていたと言われています。
茶托を選ぶ際は、茶碗の大きさやデザインに合わせて選ぶようにしましょう。
湯冷まし
湯冷ましは、その名の通りお湯の温度を下げるための茶器です。
茶種によって最適なお湯の温度は異なり、お茶によってはかなりお湯の温度を下げる必要があります。
そういった場合は、お湯を一度湯冷ましに移して、適温まで下げてからお湯を注ぎます。
時間が経てばお湯の温度は下がってきますが、早くお湯の温度を下げたい時にあると便利な茶器です。
お茶の種類と茶器
日本茶を入れる際に一般的によく用いられる茶器については、先にご紹介したとおりですが、茶器の中には特定の茶種のために作られた専用のものも存在します。
ここでは、そういった茶器について解説します。
玉露用の茶器
玉露の特徴は濃厚な旨みにあり、旨味を引き立てるために温めのお湯で入れます。
濃厚な旨味を少しずつ味わうように飲むのが一般的で楽しみ方で、玉露に適した茶器を使うことで、より一層玉露を楽しむことができます。
宝瓶
宝瓶(ほうびん)は急須の一種ですが、一般的な急須とは異なり取っ手がついていません。
玉露や上級煎茶など、旨味を引き立てるために温めの湯で入れるお茶に適しています。
ふたが平らになっており、手に馴染みやすいのも特徴です。
茶碗
玉露は1人当たり10ml程度で入れるのが一般的なため、茶碗も小ぶりのものが適しています。
煎茶用の茶碗でも代用できますが、玉露用の茶碗が販売されていますので、玉露が好きな方は専用のものを用意しておくとよいでしょう。
抹茶用の茶器
抹茶は煎茶と異なり、粉末状のお茶を点てて飲むお茶です。
そのため、必要な茶器も煎茶とは異なります。
茶筅
茶筅(ちゃせん)は、抹茶を泡立てるための茶器です。
茶筅は竹を割って作られるブラシのような茶器で、パッケージや商品説明で80本と記載されているものは、穂先が80本ある茶筅であることを意味しています。
穂先の数が多いほど細かい泡が立ちやすくなりますが、その分穂先1本1本が細くなり折れやすくなります。
初めて購入する場合は、60本から80本のものを選ぶとよいでしょう。
抹茶茶碗
抹茶は茶筅でお茶を泡立てる必要があるため、飲み口の狭い茶碗は不向きです。
抹茶を点てる際には、抹茶用の茶碗を使った方がよいでしょう。
抹茶茶碗には、筒茶碗(つつちゃわん)と平茶碗(ひらちゃわん)の2種類があります。
どちらも茶筅を振るいやすいように、口が大きくなっているのが特徴です。
筒茶碗は茶碗に厚みがあり、熱が逃げにくいため寒い時期に向いているとされています。
一方、平茶碗は筒茶碗と比べる薄く浅いのが特徴で、暑い時期に向いているとされていますので、自身に遭ったものを選ぶとよいでしょう。
茶杓
茶杓(ちゃしゃく)は、抹茶をすくうための茶器です。
茶合と同様に、毎回同じ分量で抹茶を点てるために必要な道具ですが、家庭で抹茶を点てる場合は、ティースプーンでも代用可能です。
茶器の選び方
茶器にはたくさんの種類があるため、どれを選べば良いのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
ここでは茶器を選ぶ際のポイントをご紹介していきます。
材質
茶器の材質によって、お茶の味が変化することもありますので、購入する際は材質に注目してみましょう。
金属
やかんなどのお湯を沸かす道具は、材質によってはお茶の味に影響を与えることもあり、材質にアルミや銅が含まれているものは不向きとされています。
鉄瓶は、鉄分がお湯に溶け出すほか、水の不純物を吸着するため、お茶がおいしくなるとされていますが、しっかり手入れをしていないとサビてしまうのが欠点です。
ステンレス製のものは、サビの心配もなく味への影響がないといわれていますので、気軽にお茶を飲むのであればステンレス製のやかんが無難と言えます。
陶器
陶器は磁器と比べると低温で焼かれるため、土の中のミネラルがそのまま残っており、お湯に溶け出しやすいとされています。
つまり、お茶の味に影響を与える可能性があり、陶器によって味が良くなることもあれば、悪くなることもあるということです。
ガラス
ガラスは透明なものであれば、陶器と比較すると比較的味への影響が少ないとされています。
しかし、色つきのガラスは着色のために金属を使用しているため、お茶の味に影響を与えることもあるとされています。
ガラス製の茶器を使用する場合は、透明なものを選んだ方が無難かもしれません。
見た目
茶器を選ぶ際には、使い勝手や目で楽しめるかも考慮しましょう。
味への影響を考慮することも大切ですが、こだわり始めるとキリがないのも事実です。
自身が気に入ったデザインや、使っていて楽しいと感じるものなど、実用性以外の部分に注目することも大切です。
まとめ
- 茶器には特定の茶種専用のものある
- 茶器の材質によってお茶の味が変わることもある
- 実用性以外の部分に注目することも大切
茶器の種類や選び方について解説してきました。
味への影響や使い勝手など、人によって重視する点はそれぞれですが、茶器を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。