どちらも同じお茶?頴娃茶と知覧茶の違い
頴娃茶と知覧茶の産地である南九州市は、鹿児島県南薩半島の南に位置しており、市町村別のお茶の生産量は日本一を誇る国内でも有数のお茶の生産地です。この記事では、同じ地域で生産されるこれらのお茶の違いについてご紹介します。
頴娃茶ってどんなお茶?
頴娃茶は、南九州市の南にある旧頴娃町で生産されていたお茶のブランドで、江戸時代に旧頴娃町内(現南九州市)の新牧地区でお茶が栽培され始めたのが頴娃茶の起源とされ、昭和40年代に入ると盛んに生産が行われるようになり、以降、生産量が増加し現在では国内有数の生産地になりました。
知覧茶ってどんなお茶?
もともとは旧知覧町で生産されていたお茶のブランドで、上級煎茶の産地として全国的に知られています。鎌倉時代にはお茶の栽培が行われていたとする伝承が残っており、本格的な栽培が始まったのは、明治時代に入ってからと言われています。
2017年に知覧茶に統一された
南九州市は2007年に、旧頴娃町・旧知覧町・旧川辺町が合併してできた自治体で、南九州市には頴娃茶・知覧茶・川辺茶の3つのお茶のブランドが存在していましたが、2017年にこれら3つのブランドが統一されて全て知覧茶と呼ばれるようになりました。そのため、かつて頴娃茶と呼ばれたいたお茶も、現在では知覧茶と呼ばれるようになりました。
知覧茶の3つの産地と特徴
知覧
南九州市の北東部に位置する2番目に知覧茶の生産量が多い地域です。地域の至る所に茶畑が広がり、個性豊かなお茶が生産され、あさつゆという品種の栽培が盛んです。現在でも高品質な上級煎茶が生産され、あさつゆがブレンドされたお茶は水色(すいしょく)が鮮やかで美しいという特徴があります。
頴娃
南九州市の南部に位置する地域で、生産される品種の約60%がゆたかみどりという品種です。南九州市内で最もお茶の生産量が多い地域で、深蒸し茶の製造が盛んな地域でもあります。鮮やかな緑色と濃厚な旨味がこの地域のお茶の特徴です。
川辺
南九州市の北西部に位置する地域で、やぶきたという品種の生産が盛んで、清涼感のある香りがこの地域のお茶の特徴です。近年ではあさつゆの栽培も行われるようになりました。
製造業者の所在地を確認してみよう!
先にご紹介した通り、公式の頴娃茶というブランドはなくなってしまいましたが、頴娃産のお茶を飲みたい場合は、製造業者の所在地を確認てみましょう。必ずしも頴娃産のものとは限りませんが、お茶の工場は茶園の近くに建られることが多いので、所在地が頴娃町になっていて、製造から販売まで行っている業者であれば、頴娃産の茶葉を使用している可能性が高いと言えます。
同じ知覧茶でも、もともとは別々のブランドであったため地域によってそれぞれ個性があります。知覧茶をお求めの際は、可能ならパッケージに記載されている産地を確認してみることをお奨めします。
知覧茶の品種
全国で生産されるお茶の品種の約75%はやぶきたですが、南九州市ではその他の品種も栽培されています。ここでは南九州市で生産されているやぶきた以外の主な品種をご紹介していきます。
ゆたかみどり
濃い緑色とほろ苦い味わいが特徴で、温暖な気候での栽培に適した品種です。収穫前に被覆材で日光を遮って栽培され、その多くは深蒸し茶として加工されます。知覧茶の約40%はゆたかみどりで、全国で生産されるゆたかみどりの95%は鹿児島県で栽培されています。市町村別に見ると南九州市で最も多く生産されている品種です。
あさつゆ
生産される知覧茶の8.5%を占める品種で、少ない渋味と豊かな旨味から天然玉露とも呼ばれる宇治種から選抜された品種です。
さえみどり
知覧茶の7.4%を占める品種で、やぶきたとあさつゆとの交配によって開発されました。九州での栽培が盛んで、鮮やかな緑色と甘味が強くコクのある味わいが特徴です。
あさのか
知覧茶の2.6%を占める品種で、 アミノ酸が多く含まれ旨味が強く香り高いという特徴があります。やぶきたと中国種を交配して作られた鹿児島生まれの品種で。
おくみどり
知覧茶の3%を占める品種で、主に九州や近畿地方で栽培されています。クセがなく煎茶や玉露・碾茶(抹茶の原料)と言った幅広い緑茶に利用され、鮮やかな緑色と爽やかな味わいが特徴の品種です。
まとめ
- 頴娃茶は旧頴娃町で生産されていたお茶のブランド。
- 知覧茶はもともと旧知覧町で生産されているお茶のブランド。
- 現在の知覧茶は2017年に知覧茶・頴娃茶・川辺茶の3つのブランドを統一したもの。
- 知覧は上質な煎茶が生産されている地域で、あさつゆがブレンドされたものは水色が鮮やか。
- 頴娃は深蒸し茶の生産が盛んな地域で、旨味が濃厚なお茶が生産されている。
- 川辺はやぶきたの生産が盛んで、清涼感のある香りのお茶が生産されている。
- 南九州市ではやぶきたの他、ゆたかみどりの生産も盛んに行われている。
知覧茶をお求めの際は、産地を確認してみることでお気に入りの銘柄を見つけられるかもしれません。
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参考
知覧茶公式サイト
https://www.chirantea.com/?lang=ja
茶-農林水産省
http://www.maff.go.jp/kanto/seisan/engei/tokusan/sanchi/pdf/28tya.pdf