べにふうき(紅富貴)茶は、テレビなどで花粉症を抑制するお茶として、とりあげられたことで注目を集めています。
そのため、「普通のお茶と何が違うの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、べにふうき茶が花粉症を抑制する仕組みから、効果的な飲み方を解説していますので、ぜひご覧ください。
べにふうき茶とは?
まずは、べにふうき茶と一般的な煎茶との違いや、べにふうき茶がどのようにして作られるのかなどについて解説していきます。
べにふうきはお茶の品種
「べにふうき」とはお茶の品種のことで、ダージリン系の品種とべにほれという品種を交配して生み出された紅茶用の品種です。
1995年に独立行政法人農業食品産業技術研究機構によって開発され、品種登録されました。
べにふうきには病気や虫害に強く、農薬あまり使わずに栽培できるという特徴があります。
外国産の茶葉におされて、紅茶用の品種として普及することはありませんでしたが、花粉症を緩和する作用があることが明らかになり注目を集めるようになりました。
作り方は煎茶と同じ
べにふうき茶の作り方は一般的な煎茶と同じで、以下の工程を経て作られます。
- 蒸し
- 荒揉
- 中揉
- 精揉
- 乾燥
- 仕上げ
- 粗茶完成
べにふうきの成分が溶け出しやすくなるよう、メーカー独自の工夫をこらした商品も出回っており、煎茶タイプのほか、べにふうきを粉末にした商品も販売されています。
一般的な緑茶との違い
べにふうきと一般的な緑茶との違いは、茶葉に含まれるカテキンにあります。
一般的な緑茶には、主に4種類のカテキンが含まれており、中でもエピガロカテキンガレートという種類のカテキンが最も多く含まれています。
べにふうきには、そういったカテキンだけではなく、メチル化カテキンがほかのお茶よりも多く含まれているのが特徴です。
べにふうき茶の味
べにふうきは、ほかの品種と比べると渋味が強いお茶です。
べにふうきはもともと紅茶用に開発された品種で、紅茶は茶葉を発酵させる発酵茶と呼ばれる種類のお茶ですが、メチル化カテキンは発酵が進むと減少してしまいます。
本来、緑茶にするには渋味が強いべにふうきですが、抗アレルギー作用を期待して飲む人が多いため、近年では茶葉を発酵させずに緑茶へ加工されることが多いです。
メチル化カテキンが花粉症を抑える
べにふうき茶の花粉症を緩和する作用は、メチル化カテキンの抗アレルギー作用によるものです。
メチル化カテキンが花粉症を抑制する理由について解説していきます。
花粉症のしくみ
花粉症はスギなどの花粉が、体内に入ってくることで引き起こされるアレルギー反応で、以下のような仕組みで発症します。
(出典:厚生労働省 的確な花粉症治療のために)
- 花粉が鼻や目の粘膜に付着し、身体にとって異物(アレルゲン)と判断されると抗体が作られる
- 抗体が作られた後、花粉が粘膜に付着する
- 花粉が肥満細胞の抗体と結合する
- 肥満細胞がアレルギー誘発物質(ヒスタミンなど)を放出する
- ヒスタミンが受容体と結合する
- 鼻水やくしゃみ、涙などで、異物を体外に出そうとする
花粉症の約70%はスギ花粉症と考えられていますが、スギ花粉以外にもヒノキやヨモギなどの花粉も、花粉症を引き起こす原因になることがあります。
抗アレルギー作用
メチル化カテキンには、アレルギー誘発物質の一種であるヒスタミンの放出を抑制する作用があります。
放出されるヒスタミンの量が減ることで、アレルギーの症状が抑制されます。
また、べにふうきにはストリクチニンと呼ばれる成分が含まれており、ストリクチニンは抗体が作られるのを抑制する作用があります。
べにふうきにはこれら2つの成分が含まれているため、花粉症の症状を抑制する効果があるのです。
そのほかの効果
べにふうき茶には、抗アレルギー作用のほかにも脂肪の吸収を抑える作用や、美肌効果があります。
ここでは、それぞれの効果について解説していきます。
脂肪の吸収を抑える
カテキンには脂肪の吸収を抑える作用があります。
脂肪の吸収を抑えることで、コレステロールの上昇を抑制し、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。
美肌効果
べにふうきを含む緑茶にはビタミンCが含まれており、ビタミンCには肌にシミができるのを予防する効果があります。
また、ビタミンCはコラーゲンの合成に必要な物質で、コラーゲンは肌に水分を保つ役割があり、不足すると肌のハリがなくなってしまいます。
このように緑茶には、肌を若々しく保つための成分が含まれているのです。
べにふうきの効果的な飲み方とは?
さまざまな効果のあるべにふうきですが、飲み方を間違えてしまうと効果を十分にえることができません。
そこで、べにふうきの効果をえるための具体的な飲み方について解説していきます。
1日に数回に分けて飲む
摂取したメチル化カテキンは、4時間ほどで体内からなくなってしまいます。
そのため、1度に大量のべにふうきを飲むよりも、1日に何回かに分けて飲む方が効果的ですので、3時間から4時間ごとに飲むよう心掛けるとよいでしょう。
ただし、茶葉にはカフェインが含まれおり、就寝前に飲むと眠れなくなってしまう可能性があるため、夜に飲む場合は注意が必要です。
5分以上煮立たせる
通常、緑茶を煎じる場合、お茶の種類にもよりますが、80度前後のお湯で60秒程浸出します。
同じ方法で同じ方法でべにふうきを入れた場合、お湯に溶け出すメチル化カテキンは、茶葉に含まれる量の約30%です。
そこで、より多くのメチル化カテキンを抽出するための入れ方をご紹介します。
- べにふうき3.8gと400mlの水を用意する
- 用意した水の中にべにふうきを入れる
- 5分以上沸騰させる
(参考:農研機構「べにふうき」緑茶からメチル化カテキンの効率的な抽出方法)
以上のような方法でべにふうきを入れると、茶葉に含まれるメチル化カテキンの内、約60%を抽出することができます。
粉末にする
先にご紹介したように、べにふうきに含まれる成分を効果的に飲むためには、入れるのに少し手間が掛かります。
通常、茶葉に含まれる成分の内、お茶として水に溶け出すのは数%で、成分のほとんどは茶葉に残ったままです。
しかし、茶葉を粉末状にしたお茶であれば、茶葉に含まれる成分をまるごと摂ることができます。
手軽にべにふうきの成分を摂りたい方は、粉末タイプのべにふうき茶もおすすめです。
ミルを使用すれば、煎茶タイプのべにふうきを粉末にすることもできますが、コーヒー用のミルなどを使用すると茶葉を細かい粉末にすることができないため、お茶用のミルを使うようにしましょう。
緑茶を選ぶ
べにふうきに含まれるメチル化カテキンは、発酵が進むにつれて減少してしまうため、紅茶のように発酵させたお茶では、含有量が少なくなってしまいます。
また、お茶の葉は酸化酵素の働きによって、放っておいても発酵が進むため、メチル化カテキンが減少する前に発酵を止める必要があります。
煎茶をはじめとする緑茶は、収穫後すぐに茶葉を蒸すことで酸化酵素の働きを止めて、発酵が進まないようにして作られる不発酵茶です。
そのため、べにふうきから作られた緑茶にはメチル化カテキンが多く含まれています。
メチル化カテキンを効率的に摂るのであれば、紅茶ではなく緑茶を選ぶようにしましょう。
子どもや妊婦は注意!
健康によいさまざまな成分が含まれているべにふうきですが、べにふうきにはカフェインが含まれています。
カフェインは交感神経に作用して、集中力を高める効果がありる一方で、多量に摂取するとめまいや不眠などの症状が現れることがあるため、注意が必要です。
特に、子どもや妊婦、授乳中の女性は体への影響が大きいため、飲み過ぎないように注意しましょう。
まとめ
- べにふうきにはメチル化カテキンが多く含まれている
- メチル化カテキンの抗アレルギー作用で花粉症を抑制される
- 紅茶にするとメチル化カテキンは減少する
- 5分以上茶葉を煮出すことで、より多くのメチル化カテキンを抽出できる
べにふうき茶がどのようなお茶なのか、べにふうき茶が花粉症の症状を緩和する理由について解説しました。
べにふうきは生産量が少なく、市場に出回る商品の数も少ないため、時期によっては入手が難しいこともありますが、花粉症に悩まされている方は一度試してみてはいかがでしょうか。
また、べにふうき茶を含む緑茶には、健康に良いとされるさまざまな成分が含まれていますので、興味のある方はぜひ以下のページもご覧ください。