番茶がどのようなお茶なのかよく分からないという方は、多いのではないでしょうか。
番茶という言葉は、特定の時期に収穫されたお茶のことを指して使われる場合や、地域独自の製法で製造されたお茶を指して使われる場合があります。
上記のような理由から、一口に番茶と言ってもすべて同じ意味で使われているわけではありません。
この記事では、番茶の特徴やほうじ茶との違い、地域独自の番茶について解説します。
また、おいしい入れ方も紹介していますので、ぜひご覧ください。
番茶の原料
番茶の原料は、煎茶やほうじ茶と同じお茶の木の葉でが、収穫時期が煎茶とは異なります。
まずは、番茶の原料について詳しく解説します。
一番茶・二番茶・三番茶
その年の最初のお茶の収穫は4~5月初旬頃に行われますが、一番最初に収穫されたお茶のことを一番茶(新茶)と呼びます。
それ以降に収穫されたお茶は収穫された順番に、二番茶・三番茶と呼び、地域によっては秋に収穫される秋冬番茶まで存在します。
番茶とは一番茶より後に収穫されたお茶
番茶とは二番茶以降に収穫された茶葉のことで、番茶の呼び名の由来は一番茶よりも遅い時期に収穫された茶葉という意味の「晩茶」が「番茶」と呼ばれるようになったことと言われています。
また、二番茶以降の茶葉を煎茶と同様の方法で加工して作られたお茶も同様に番茶と呼ばれます。
製造方法
番茶の製造工程は煎茶とほぼ同様で、茶葉に熱を加え酸化酵素の働きを止める殺青(さっせい)を行なった後、水分を飛ばしながら茶葉を揉み、乾燥させ荒茶を製造します。
その後の仕上げの工程で合組(ブレンド)などを行い製品が完成します。
番茶の特徴
番茶の特徴は、強い渋みと淡白であっさりとした味わいにあります。
また、玉露や煎茶よりも比較的安価で販売されていることが多いです。
ここでは、番茶に含まれる特徴的な成分について解説します。
カテキンが多い
先にご紹介したように、番茶の原料は二番茶や三番茶などですが、これらの茶葉は一番茶と比べるとカテキンを多く含んでいます。
カテキンには血糖値の上昇や悪玉コレステロールの上昇を抑える作用があります。
その他の成分と効能
カフェイン
番茶にはカフェインも含まれており、覚醒作用による眠気の抑制や注意力を向上させる作用やカフェインを摂取することによってノルアドレナリンが放出され交感神経が活発になり、基礎代謝が増加し、運動に適した状態になります。これによってエネルギーを燃焼しやすくなり、体脂肪の減少を促す効果があります。
ビタミン
番茶にはビタミンCやビタミンB2などの水溶性のビタミンが含まれており、ビタミンCにはストレスや生活習慣の乱れによってバランスを崩した自律神経を安定させる効果や免疫力を向上させる作用があります。ビタミンB2には動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールの酸化を防ぐ効果がある他、皮膚や髪の毛を作る細胞の発育に必要なビタミンでもあります。
番茶とほうじ茶の違い
近年、注目を集めているほうじ茶ですが、番茶とほうじ茶の違いをご存知でしょうか。
ここでは、2種類のお茶の違いを解説します。
ほうじ茶の原料
ほうじ茶の原料は、番茶をはじめとする一般的な緑茶と同じお茶の木の葉を原料とし、中でも2番茶以降の番茶が用いられのが一般的です。
ほうじ茶の中には、茎茶をブレンドした商品も存在します。
ほうじ茶の製造方法
ほうじ茶の「焙じ」は焙煎のことで、番茶や煎茶を高温で炒って水分を飛ばすことで作られます。これによってほうじ茶独特の香ばしい香りが生まれます。
ほうじ茶は一度、番茶や煎茶として加工したお茶に、再加工を加える二次加工品です。また 、炒ることによって茶葉に含まれるカフェインが飛ばされ、他の緑茶と比較するとカフェインが少ないという特徴があります。
番茶との違い
前述の通り、番茶は生の茶葉から加工されますが、ほうじ茶は一度お茶として加工されたものが、原料になっているという違いや焙煎している点に違いがあります。
ローカル番茶
番茶には先にご紹介したものの他にも、その地域独自の飲み方や製法で作られるお茶を「番茶」と呼ぶことがあります。
この「ローカル番茶」とでも呼ぶべき番茶の中でも、代表的なものをいくつかご紹介します。
バタバタ茶(新潟・富山)
新潟県糸川市では番茶・カワラケツメイナ・大豆・お茶の花・麦を煮出したものに塩を少量入れ、茶せんで泡立てたバタバタ茶という独自のお茶が飲まれています。
富山県朝日町ではバタバタ茶に使う茶葉には黒茶が用いられ、こちらも茶せんで泡立てて飲みます。
京番茶(京都)
春と秋に行われるお茶の木の整枝で出た枝葉を原料とするもので、蒸して乾燥させた後に茶葉を熟成させ、袋詰めをする前に釜で葉と茎を炒めます。
葉と茎は熱の通り方が異なるため別々に炒められ、炒め終わった葉と茎は製造者それぞれの独自の分量で配合が行われます。
番茶の入れ方
①番茶を入れる際は90°位の高温のお湯で入れるのがコツで、一人分の茶葉は約2g、お湯は一人につき約80ccを用意します。
②人数分の茶葉を急須に量り入れ、ポットややかんから直接お湯を注ぎます。こうすることでお湯の温度が下がらず、番茶の香りを立てることができます。
③約30秒浸出させた後、廻し注ぎを行います。2煎目を入れる場合は1煎目より味が出にくいので約1分浸出させます。
まとめ
・番茶とは、二番茶以降に収穫された茶葉やそれを煎茶と同様の方法で加工したお茶を指す。
・その地域独自の製法や飲み方のお茶を番茶と呼ぶケースもある。
・番茶にはカテキンが多く含まれる。
・ほうじ茶は焙煎して作られるお茶で、番茶や煎茶を再加工した二次加工品。
・番茶は高温のお湯で入れるのがコツ。
ご紹介した様に番茶は複数の意味を含んでいるため、イメージする番茶が人によって異なる場合もあるという面白いお茶です。興味を持たれた方は是非色々な番茶を試してみてはいかがでしょうか。
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参考
日本茶の事典 STUDIO TAC CREATIVE
愛する「日本茶」の本 サクラBooks