緑茶と烏龍茶の違いとは?【不発酵茶と半発酵茶】
近年では、緑茶も烏龍茶もペットボトルで気軽に飲めるようになったため、日本人にとっては、どちらも馴染み深いお茶なのではないでしょうか? この記事では、緑茶と烏龍茶の作り方の違いや効能の違いなどについてご紹介します。
緑茶も烏龍茶もお茶の木の葉が原料
緑茶も烏龍茶も同じお茶の木の葉を原料としていますが、全く違う種類のお茶です。
収穫後の茶葉は酸化酵素の働きによって、徐々に発酵が進んでいくのですが、緑茶と烏龍茶には、茶葉をどの程度発酵させたかという発酵度に違いがあります。
発酵度によってお茶は不発酵茶・半発酵茶・発酵茶に分けられます。
緑茶は不発酵茶
緑茶は茶葉を全く発酵させない不発酵茶と呼ばれる種類のお茶です。緑茶の製造では、収穫の後、発酵が始まる前に茶葉の酸化酵素を不活性化するため、茶葉に熱を加える殺青(さっせい)という工程があります。
緑茶の殺青方法には蒸気で熱を加える方法と、釜で炒って熱を加える方法の2種類があり、蒸気を使ったものは蒸し製法、炒る方法は釜炒り製法と呼ばれています。
今日の日本では蒸し製法が一般的で、釜炒り製法は主に九州の一部の地域で用いられています。
烏龍茶は半発酵茶
烏龍茶は、茶葉をある程度発酵させる半発酵茶と呼ばれる種類のお茶で、半発酵茶は、中国では青茶とも呼ばれています。烏龍茶の製造では、茶葉が半発酵の状態になったところで殺青を行い、殺青の方法には釜炒りが用いられています。
緑茶が茶葉本来の風味が残るお茶であるのに対し、半発酵茶は発酵させるため、緑茶とは違った味わいになります。
半発酵茶は発酵度30%~80%のお茶で、一言に半発酵茶と言ってもその味わいは様々で、発酵度の低いものは緑茶に似た味わいになり、発酵度の高いものは紅茶に似た味わいになります。
発酵度によるその他のお茶の分類
茶葉を完全に発酵させる発酵茶
発酵茶は茶葉を完全に発酵させたお茶のことで、紅茶は代表的な発酵茶です。発酵茶は、茶葉の発酵度が80%~100%になったところで、茶葉に熱を加えて発酵を止めて作られるお茶で、紅茶の製造では、茶葉に熱風を送り乾燥させながら熱を加えて発酵を止めています。
発酵茶をさらに発酵させた後発酵茶
後発酵茶は、茶葉の酸化酵素で完全に発酵させた後、さらに菌類を使って茶葉を発酵させたお茶のことで、代表的な後発酵茶にはプーアル茶などがあります。
中国茶だけではなく、富山県の石鎚黒茶や高知県の碁石茶など、日本生まれの後発酵茶も存在します。
緑茶と烏龍茶の製造工程の違い
緑茶と烏龍茶の違いは発酵の度合いだけではなく、製造工程にも違いがあります。ここでは緑茶と烏龍茶のそれぞれの製造工程についてご紹介します。
緑茶の製造工程
代表的な緑茶である煎茶は、「蒸し」→「柔捻(じゅうねん)」→「乾燥」→「仕上げ」といった工程を経て作られます。
「蒸し」で殺青を行った後、乾燥させながら茶葉を揉む「柔捻」で茶葉の組織を壊し、お茶の味が水に溶け出しやすくなるよう加工します。
「仕上げ」の工程では、「本茶」と「出物(でもの)」を選別し、火入れとブレンドが行われ製品が出来上がります。
出物のお茶については、こちらの記事をご覧ください。
烏龍茶の製造工程
烏龍茶は「萎凋(いちょう)」 →「発酵」→「釜炒り」→「柔捻」→「玉解き」→「乾燥」といった工程を経て作られます。
「萎凋」は茶葉を萎れさせる工程で、その後、ドラム型のカゴに茶葉を入れ回転させることで、茶葉に傷をつけ「発酵」を促進させます。
「釜炒り」で殺青し、緑茶と同じように「柔捻」を行い茶葉の味を出やすくします。茶葉の形を整えた後、固まった茶葉をほぐす「玉解き」を行い、「乾燥」させて荒茶が出来上がります。
緑茶と烏龍茶の効能の違い
緑茶の効能
茶葉に含まれるカテキンは、健康成分として知られていますが、発酵させることで減少してしまいます。
緑茶は不発酵茶であるためカテキンが多く含まれ、カテキンにはガンを抑制する作用や動脈硬化を予防する効果など、様々な効能があると言われています。
烏龍茶の効能
茶葉を発酵させると、カテキンが減少する代わりに、重合ポリフェノールという成分が合成されます。
重合ポリフェノールは構造が複雑なためその効能に関しては、よく分かっていない部分も多いようですが、ウーロン茶には、重合ポリフェノールの一種である烏龍茶重合ポリフェノールという、特有の成分が含まれており、脂肪の吸収を抑制することからダイエットに効果があると言われています。
まとめ
- 緑茶も烏龍茶も原料は同じお茶の木の葉。
- 緑茶は茶葉を全く発酵させない不発酵茶で、茶葉本来の風味が味わえる。
- 烏龍茶は発酵度30%~80%の半発酵茶で、発酵度の低いものは緑茶に似た味わいになり、発酵度の高いものは紅茶に似た味わいになる。
- 緑茶の多くは、「蒸し」→「柔捻」→「乾燥」→「仕上げ」といった工程を経て作られる。
- 烏龍茶は「萎凋」 →「発酵」→「釜炒り」→「柔捻」→「玉解き」→「乾燥」といった工程を経て作られる。
- 緑茶には、カテキンが多く含まれており、ガン抑制や動脈硬化を予防する効果があるとされる。
- 烏龍茶には、烏龍茶重合ポリフェノールという特有の成分が含まれており、ダイエットに効果があるとされる
参考
ウィキペディア 烏龍茶
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%83%8F%E9%BE%8D%E8%8C%B6
お茶百科 半発酵茶させるのが烏龍茶の製造工程
http://www.ocha.tv/how_tea_is_made/process/schedule_oolong/
日本茶の辞典 STUDIO TAC CREATIVE
http://www.studio-tac.jp/culture_food/10_index_detail.shtml